ネコ

提供: Yourpedia
移動: 案内検索
?ネコ
ネコ.png
イエネコ
種の保全状態評価
地質時代
 - 
分類
動物界 Animalia
脊索動物門 Chordata
哺乳綱 Mammalia
ネコ目(食肉目) Carnivora
ネコ科 Felidae
ネコ属 Felis
ヤマネコ種 F. silvestris
イエネコ亜種 F.s. catus
または F.s. domesticus
変種
品種
学名
Felis silvestris catus
Linnaeus, 1758
和名
イエネコ
英名
Cat
Domestic Cat
下位分類群
[[画像:|0200px|]]

ネコ、学名:Felis silvestris catus)は世界中できわめて広く飼われている食肉目の小型動物である。元来、ネズミを捕獲する目的で人に飼われ始めたといわれている。 広義には、「ネコ(ネコ類)」とはネコ科動物Felidae)の総称である。ネコという単独の語がこの意味で使われることはあまりないが、「Felis silvestris catus」という亜種レベルの「ネコ」を指すことを強調したいときは、特に「イエネコ」ということもある。

学術的な分類では、狭義のヤマネコsilvestris)の一亜種とされる。

起源[編集]

ファイル:AfricanWildCat.jpg
家畜化が始まったばかりの特徴を残しているリビアヤマネコ

リビアヤマネコFelis silvestris lybica)が原種とされる。同じく愛玩用家畜として一般的なイヌCanis lupus familiaris)と比べると、人間に飼われ始めた時期は遅い。メソポタミアにおいて、穀物倉庫などに現れるネズミやノウサギを狩るために人間の生活圏に頻繁に現れるようになり、次第に倉庫に住み着くようになったのがその始まりであるといわれる。ネコは肉食性で穀物は食さないので益獣として認められ追い払われることはなかったのである。家畜化されて現在のようなイエネコとなった起源はよくわかっていないが、紀元前3000年ごろの古代エジプトで固定化されたといわれる。

身体的特徴[編集]

概要[編集]

体の大きさはネコ科の他のほとんどの動物に比べて小さい。体重は2.5~7.5kgの範囲に収まるものが多い。大型のものでは、体長75cm、尾長40cm、肩高35cmに達する。 待ち伏せ型の捕食者としての能力に長け、そのためのさまざまな身体的特徴をもつ。体はきわめて柔軟であり、鋭い爪や牙、瞬発力をもつ。足音は非常に小さく、体臭も少ない。イヌ科の動物と異なり、爪を自由に出し入れできる。また、平衡感覚が非常に優れている。

ネコの「ゴロゴロpurr)」とのどを振動させて鳴らす音(他のネコ科動物にも見られる)は、どのようなメカニズムによるものかは、複数の説があり、いまだにはっきりとはわかっていない。この「ゴロゴロ」という音は、親子間のコミュニケーションにも用いられるが、骨折などの骨の損傷が治癒するのを早める効果があるという説もある。ヒトの場合も、超音波を用いた骨折の治療法が研究されており、それと同じものであると考えられている。

ネコの身体のバランスは、ちょうど人間の赤ん坊に似通っており、そのため人間はネコを見て本能的に「かわいい」と思うと言われる。これは、生まれたときにすでに親と同じ姿・かたちで生まれてくる生き物とは異なり、子育てをする生き物(鳥類や哺乳類)が持つ共通の母性本能である。また、ネコは眼が顔の前面にあり、また、眼による感情表現が多様であることから、共通の身体的特徴を持つ者として本能的に親近感を持つとも言われる。

体の柔軟性[編集]

よく知られているように、ネコの体は非常に柔軟で、頭の周り以外は体のほぼすべての場所を自分で舐めることができる。これは、ヒトなどと比べて関節が緩やかで、筋肉靭帯もやわらかいためである。特に肩の関節は可動性が高く、ヒトにあるような鎖骨は小さく退化しており、代わりに筋肉でつながっている。これは、高いところから着地した場合の衝撃を吸収することに役立っている。

瞬発力[編集]

ネコは瞬発力が高く、ジャンプ力、ダッシュ力に長けている。その代わり持久力には欠けており、長時間追いかけるような狩りは行わない。ジャンプ力は、概ね体高の5倍程度(約1.5m程度)のところに飛び上がることができる。走るスピードは、おおよそ50km/h程度と言われ、瞬間的に最高速に達する代わりに長くは続かない。

被毛[編集]

被毛は品種により、さまざまな毛色や毛質のパターンをもつ。毛色や毛質の決定には、遺伝子の働きに因るところが大きいことがわかっているが、遺伝子がどのように活性化、不活性化するかなど、不明な点も多い。毛色は子宮内の状態にも影響を受けるともいわれる。例えば、世界初のクローンネコ「CC」の毛色は、遺伝子が全く同じにもかかわらず、クローン親のものと異なっていることが知られている。

しかし、毛色を司る遺伝子は、すでにいくつか解明されており、色を薄めるダイリュート遺伝子や、被毛に縞模様を描くタビー遺伝子などの存在が知られている。なお、品種によっては、突然変異体の遺伝子や、伴性遺伝子の存在もあることから、生まれてくる子猫の毛色・毛質等をおおよそ判定することは可能であるが、不明な部分も多い。

以下に、現在解明されている主要な遺伝子を例示する。

優性遺伝子 役割 対立(劣性)遺伝子 役割
A アグーティ a ノン・アグーティ(単色)
B b 茶色(チョコレート)
bl 薄茶(シナモン)
C 単色(濃淡なし) cb セピア(バーミーズ)
cs ポインテッド(シャム模様)
D 濃暗色 d 淡明色(ダイリュート)
I 抑圧(銀化) i 基底に及ぶ色素沈着
L 短毛 l 長毛
O オレンジ(または伴性遺伝の赤) o 黒味を帯びた非赤色
S 白の斑 s ソリッドカラー(体全体)
T 縞(マッカレルタビー) ta アビシニアン(ティックドタビー)
tb ブロッチド(クラシックタビー)
W 体全体が白 w 白以外

これらの遺伝子の組み合わせによって、複雑な模様を形作る。また、これら以外にも毛色を決定する遺伝子もあり、さらに解明されていない遺伝子も存在する。

このうち、O遺伝子及び対立遺伝子o遺伝子はX染色体上にあることがわかっており、このため両方の遺伝子を持つネコは通常メスであり、オスでは染色体異常(X染色体過剰、ヒトで言うクラインフェルター症候群相当)またはモザイク染色体のネコだけである。この両方の遺伝子をもつネコはトーティシェル(いわゆるサビネコ)あるいはトーティ・アンド・ホワイト(いわゆる三毛猫)と呼ばれるが、これらのネコにオスネコが珍しいのは、染色体異常のネコが珍しいことに由来する。

また、ノン・アグーティ遺伝子はタビー遺伝子よりも上位であるため、ノン・アグーティを二つ(aa)持つネコ(黒猫など)には通常縞模様は見られない。しかし、タビー遺伝子を持つネコには、子ネコのときなどにうっすらと縞模様が現れることがある。これをゴースト・マーキングという。

cs遺伝子(サイアミーズ)は独特の遺伝子で、本来は色素の出現を抑える役割を持つが、温度が低いとその働きが抑制される。そのため、これをもつネコは温度の低い体の末端部(鼻、耳、足先など)のみに色素が出現し、シャムネコのようなポイント模様が現れる。また、温度が低い環境でも色素が出現し、色が濃くなる。

なお、ホワイトの遺伝子(W)はすべての色に対して優性であるため、これをもつネコは他の遺伝子にかかわらず、白ネコになる。

[編集]

ファイル:Cat eye.jpeg
イエネコのの拡大

ネコは、顔の大きさの割りに、かなり大きなを持っている。これは他の動物(例えばヒト)における子どもの目の大きさの比率に近く、これがネコを「可愛い」と思わせる一因にもなっている。視覚については、とくに対象の動きをとらえることを得意とする。ただし、動かないものやゆっくりとした動きのものを捉えるのはあまり得意でない。ネコの目の明視距離はおおよそ2~6mといわれ、これより距離が短いものや、長いものはあまりよく見えないと言われる。ただし、20m以前のものであれば、じっと見ることによって距離感をかなり正確に測ることができる。

ネコの瞳孔は、人間と違い縦に細長くなっている。これは瞬時に瞳孔の大きさを変える事に有利と見られている。又、野生状態で草むらのような縦長の視界で視覚を働かせるのに有利ともされる。ネコの瞳孔は調整の範囲が広く、明るいところでは細長く、暗いところでは目一杯開いて光の入る量を多くする。このため、暗いところでの視力は良い。まだ時計という物そのものがなかった時代、猫の目の瞳孔の広さは時間帯によって変わるため、忍者が概略の現在時刻を知るのに活用したともいわれている。時間が真昼に近づけば近づくほど瞳孔の広さは狭くなり、逆に真夜中に近づくほど広くなる。

ネコの目には、夜行性動物に多く備わっているタペタムと呼ばれる層が網膜の下にあり、この層が光を反射する。そのため入射光と反射光の両方の光が網膜を通過することになって、わずかな光でも物を見る事ができる。暗闇の中でネコの目が光るのは、このタペタムが光を反射するためであり、光を増幅する原理は暗視鏡に活用されている。は、光の三原色のうちを認識できるが、赤は認識できないといわれている。また、紫外線を認識することができると見られている。

ネコの目は夜でもよく見えるため、真っ暗闇で突然フラッシュ撮影をしたりすると、目を痛めるようである。また、夜よく車に轢かれるのは、車のライトを見てしまってショックで動きが止まるせいとも言われる。

目の色[編集]

ネコの目は虹彩が大きな割合を占めており、人間で言う「白目」(球結膜)は通常見られない。ネコの目の色、といった場合、虹彩の色を指す。ネコの目の色は、色の濃淡などの違いがあるものの、おおむね以下の4種類に分けられる。

  • カッパー(銅)
  • ヘーゼル(薄茶)

このうち、青の目は白ネコとシャム系のネコ(ポイントのあるネコ)に多く、白ネコの場合は高い割合で聴覚障害をもっている。また、白ネコの場合はオッドアイといわれる、左右の目の色が違う場合も多い。この場合、ブルーの目の側の耳に聴覚障害をもつといわれる。シャム系のネコの場合、立体視力に問題がある場合があるが、品種改良の結果、このようなネコは多くない。

これらの目の色の違いは、虹彩におけるメラニン色素の量で決まり、色素が多い順にカッパー、ヘーゼル、緑、青となる。(これは、人間など他の哺乳類の目でも同様である。)色素の量の違いは、元々生息していた地域の日光の量の違いに由来するといわれる(日光量が多い地域では色素が多くなる)が、交雑の結果、現在では地域による違いはほとんどなくなっている。なお、シャムネコのブルーの目は北アジア由来といわれ、熱帯タイ原産のシャムネコであるが、先祖の目の色に由来するらしい。

また、生まれて間もない子ネコの場合、虹彩に色素が沈着していない場合が多く、青目に見えることが多い。これを「キトゥン(子猫)・ブルー」という。生後7週間くらいから虹彩に色素がつき始め、徐々に本来の目の色になっていく。

[編集]

ネコのは、他の動物に比べてそれほど優れているというわけでもないが、ヒトと比べれば数万~数十万倍と言われる嗅覚を持つ。ネコの鼻は体のバランスに比べて小さくできているが、鼻腔にでこぼこを持つため、内部の表面積は多くなっている。そのため、鼻は小さくても優れた嗅覚を持っている。 

鼻の使い方[編集]

ネコはイヌと違って嗅覚を狩りに利用することはほとんどない。これはイヌとネコの狩りの仕方の違いによる。ネコは、嗅覚を「これは食べられるものかどうか」ということと、縄張りの確認に主に使うといわれる。ネコは頬腺などから出る分泌物尿などによって自分の臭いをつけそこを縄張りとする。そのほかにも、仲間同士のコミュニケーションのために臭い付けをし、飼い主やほかのネコに対して行われる。例えば、ネコが飼い主の足に顔をすりよせるのは、頬腺などから出る分泌物をつけ、「自分の物」というマーキングをしているわけである。

フレーメン反応[編集]

ネコにはフェロモンを感じる器官が口内の上顎にあり、これをヤコブソン器官(鋤鼻(じょび)器官)という。これはウマガラガラヘビなどのほかの脊椎動物にもあるが、ヒトの場合は退化してしまったといわれている。ネコは、フェロモンを感じると口を半開きにし、目を半分閉じて笑っているような表情をする。これをフレーメン反応といい、フェロモンを分析している行動である。これにより、主に相手のネコがどういう状態にあるかを分析する。

なお、ネコはマタタビに酔うと言われるが、これはマタタビの臭いをヤコブソン器官で感じて、ネコに恍惚感をもたらすためといわれている。

[編集]

ネコの五感で最も優れているのは聴覚である。可聴周波数は60Hz~65kHzとされ(10MHzという説もある)、イヌの40Hz~47kHz、ヒトの20Hz~20kHz に比べて高音域で広い。これはネズミ等が出す高音に反応するため、といわれている。また、とがったアンテナのようなは片方ずつ別々に動かすことができ、異なる方向の音を聞き分けることができる。そのため、指向性が強く、音源の場所をかなり正確に特定することができる。音の聞き分けの能力も高く、例えば飼い主が帰ってきた足音を判別することは簡単にできる。これらの能力は、夜間に待ち伏せ型の狩りをするために発達したといわれる。

[編集]

ネコのは薄く締まっており、表の面には多数の鉤状突起があってザラザラしているが、これはに付いたをしゃぶるのに適応したものである。この突起は毛繕いや水を飲む時に役に立つ。熱い食べ物が苦手な人を「猫舌」と俗称するが、ネコだけが特に熱いものを嫌うというわけではなく、野生動物は加熱調理した食物を食べることが無いので、熱いものに慣れていないのである。

家の中や自分の縄張りなどでリラックスしている猫は、しばしば舌をしまい忘れる事がある。舌を指で触れると猫はしまい忘れている事に気づくが、たいていの場合からからに乾いているので思うようにしまう事ができない。そのような場合には水を与えてやると良い。

これはネコ科の動物に共通する特徴だが、味蕾が他の哺乳類とは異なっており、甘味を認識することができない。ネコの食物に対する嗜好はこの甘味の欠如が原因と考えられている。

ひげ[編集]

正確には洞毛と呼ぶ。毛根部分に感覚神経血管が密に分布しており、非常に鋭敏で、先端に何かが少し触れても感じ取れる。の周りだけでなく、の上、の横にもあり、それらの先端を結ぶと顔を一周する大きなになり、これで狭い通路を通り抜け得るか否かを判断できるので、獲物の追跡、敵からの逃走に重要な役割を果たす(これを否定する説も一部で出されている)。顔以外では、前脚の関節付近の裏側にも生えている。また、長さは若いほど長く、歳をとったものほど短い。またひげは生え変わる。ひげを無理矢理抜くと酷い場合はストレスで死んでしまう事もあるので、イタズラでひげを抜くような事は絶対にしないように。

[編集]

ネコの尾は、おおむねその胴体ほどの長さであるが、ジャパニーズボブテイルなどのように極端に短いものや、マンクスのように尾が無い個体もある。 尾の役割は、感情を表すほか、走行時や跳躍・着地時に体のバランスを取る役割がある。イエネコについては尾が無くても行動に殆ど支障はないと考えられている。

なお本来の日本のネコは、世界に現存する殆どの猫に比べ、ジャパニーズ・ボブテイルのように尾は半分以下もないことが普通であったが、日本在来の猫に海外の猫の血が戦後以来混入し続けた結果、尾が長い個体が多くなっている。ただし九州の一部など特定地域には尾の短い個体が比較的多く見られる。

尾は、脊髄と直結しているため、非常に痛覚が強い。尾が切断されると、四肢を切断された時よりも痛がるほどである。よって、尾を持って引っ張ったりすると、温厚な個体でも抵抗することがある。手を噛まれると、大怪我をすることがあるので注意が必要。

尾の付け根の部分には性感帯があると言う噂があるが、今のところ不明である。

尾による感情の表現[編集]

ネコが、尾によって表す感情は以下のようなものである。

  • 立てている:比較的機嫌のよいとき。歩くときは立てていることが多い。個体によっては、立てながらくねくねと動かしている場合もある。
  • 横に振っている:不快なとき。犬から類推して「喜んでいる」とするのは誤解である。飼い主に呼ばれると、数回振って応える事もある。
  • 後肢の間に巻き込んでいる:おびえているとき。通常、耳を後ろに伏せていることを伴う。
  • 大きく膨らませている:威嚇しているとき、または驚いたとき。威嚇しているときは、全身の毛を逆立てることを伴う。
  • 他のネコや、人間に巻きつける:相手に親愛の情を持っている。

肛門嚢[編集]

不意打ちを食らうと、肛門嚢から臭いにおいを発することがある。

鳴き声[編集]

  • 「にゃ」(人間に声をかけられた時の反応)
  • 「にゃー」
  • 「にゃおーん」
  • 「ふぎゃー」
  • 「みあおー」
  • 「ふぅー」
  • 「おーい」
  • 「むー」
  • 「めー」
  • 「けそけそ」(蚊などが気になる時)
  • 「むおむお」
  • 「うるるー」(自分の子どもを捜している時)
  • 「うるっ?」「うるる」(上記とは別に、眠っている所を起こされたり、人間に話しかけられた時の返事や相槌(?)の時)
  • 「ぐるぐる」「ごろごろ」(鳴き声ではなく、喉を鳴らしている音の表現 自分をかわいがってくれる人間に対して好意を表しているとされる その人に体を擦り付けたり膝によじ登って香箱座り(後述)したりの行動を伴う事が多い)
  • 「うあーっ!」
  • 「ぶーん」(笑っているといわれている)
  • 「う゛ー」(テリトリー内に知らない人が侵入した時の警戒)
  • 「クケケケケ」「カカカカカ」(鳥が目の前に来たとき、またCDや鏡等の反射光に反応した時。「クラッキング」と呼ばれ、思うように獲物を捕れないなどストレスを感じたときに発するとも言われるが、まだ十分に解明されていない)
  • 「おあーん」「おぎゃー」「あーぅ」(発情期に人間の赤ん坊のような独特の声を発することがある)
  • 「ハーッ!」「シャーッ!」(かなり警戒している時)

このほか、溜息もつく。

以上の表記はすべて便宜的なものであり、必ずこのように聞こえるというわけではない。猫を含む動物の鳴き声の捉え方は個々人によって違ううえ、その人間の属する言語文化によっても大きく異なるためである。例えば「にゃー」はアメリカでは「meow」、イギリスでは「miaow」、フランスでは「miaou」、中国では「miāo」と表すようにである。

繁殖[編集]

発情[編集]

メスの発情[編集]

メスネコは、個体差もあるが、おおむね生後6ヶ月から12ヶ月で性的に成熟する。その後、定期的に発情する。発情の周期についてはいくつか説がある。

  • 周期はおおむね3ヶ月。だが、完全室内飼育の場合など、周辺の環境によっては周期が早まることがある。
  • 冬から春の始まりごろと、春の終わりごろから夏の終わりごろの二シーズン。ひとつのシーズンの間に数回発情する。
  • 1~2月ごろ、5~6月ごろ、8~9月ごろに発情する。

発情期間は3~6日程度だが、その間に交尾が行われない場合、10日ほどになることもある。

発情すると、地面に体を擦り付けるなど、行動に変化が現れる。

オスの発情[編集]

オスネコは、メスよりやや遅れて成熟する(メスより2,3ヶ月程度遅い)が、これも個体差が大きい。オスの場合は定期的な発情期はなく、メスの発情に誘発されて発情する。

発情すると、メスと同じように行動に変化が現れ、スプレー(尿マーキング)と呼ばれる特徴的な行動を行うようになる。また、オス同士の喧嘩も多くなる。

交尾[編集]

交尾は両性の合意によって行われ、メスがオスを気に入らなければ、オスが無理に交尾をすることはないとされている。 通常、交尾はオスがメスの背中に乗り、オスがメスの首筋を噛んでメスが逃げないようにして行う。 ネコの交尾は相手が1匹に限定されるものではなく、機会があればオス・メスともに複数の異性と交尾を行う。 よって、同時に生まれた子猫の父猫が別のネコであることはよくあることである。 ネコは交尾の刺激によって排卵が行われるため、妊娠率は比較的高い。オスの陰茎にはトゲ状の突起があることが知られているが、これは刺激によって排卵を誘発するため、と考えられている。なお、去勢したオスでは、この突起が消滅する。

妊娠・出産[編集]

メスネコは、おおむね2~6匹程度の子を妊娠する。妊娠期間は60日程度である。

出産は一般的に軽く、人や獣医師が手を貸す必要のないケースが、ほとんどである。 子猫は出産直後は羊水で濡れているが、母猫が舐めて乾かし、数時間でふわっとした毛並みになる。 母猫は出産当日は授乳に専念し、食事はあまり採らないようである。 かわりに後産で出た胎盤を栄養分として食べることが多い。

メスネコは年3~4回の出産が可能であり、年2回の出産は珍しくない。授乳期間中であっても、交尾・妊娠するので、 1回目の出産後、これ以上出産させたくない場合は注意が必要である。

習性[編集]

睡眠[編集]

ネコは一日の大半を寝て過ごすとされてるが、実際の睡眠時間は人間のそれとほとんど変わらないか、少し多いくらいだと言われている。よく全ての脚を体の内側に入れ、うずくまって目を閉じている姿(香箱―こうばこ―座り または「箱座り」)を見掛けるが、あれは寝ているのではなく、何もする事がないので「ボーっとしている」だけである。ペットとして飼われている猫はエサを探す必要がなく、寝る場所も確保されているので、時間が余ってしまうのである。

ただし狩猟動物としての本能は残っているので、ボーっとしながらも、いつでも動ける体勢を取っている。また、子ネコではほとんどがレム睡眠であるといわれる。そのため、呼びかけたり触れたりすると目を覚ます場合がある。また、ネコはヒトと同じようにを見るとされ、主に子ネコのころの夢や、狩りをしている夢を見ると言われている。

爪とぎ[編集]

放し飼いの地域猫野良猫の場合は太い木の幹で、飼い猫の場合は壁や柱を使って爪とぎをする。猫に限らず、狩りをする動物の多くはこの行動をする。

これには古い爪を研いで爪を鋭くし、いつでも狩りに使えるようにしておくメンテナンスの意味、縄張りを示す意味があると言われている。また、転位行動として行う事もある。

獲物を持ち帰る[編集]

野良猫の場合、ネズミスズメなどの獲物を捕まえた場合、それをその場で食べずに、安全な場所まで運んで食べる習性がある。 また、飼い猫や地域猫に多い習性だが、飼い主の所や、母猫の場合は子どもの所まで持ち帰る習性を持つ猫もいる。

飼い主の所まで持ってくるのは、1つは飼い主に褒められたいため、もう1つは飼い主を「狩りの下手な仲間」と見て獲物を分けてやるためであると言われている。どちらが有力なのか諸説あるが、共に、よく懐いた人の所にしか持って来ない。

また母猫の場合、仔猫が弱った獲物で遊ぶことにより、狩りの方法を教えていると言われている。

草を食べる[編集]

肉食動物である猫だが、燕麦など背の小さい草を食べる習性がある。

理由は未だ明らかでないが、草の繊維によって、毛づくろいの時に飲み込んだ毛を排泄するのを助けるとか、植物性のビタミンや葉酸を草を食べることで直接摂取するなどの説が有力である。しかしどの猫にも共通しているのが、イネ科の植物を好んで食べるということである。

ペットショップでは飼い猫用に「猫草」として種や栽培キットなどが売られている。

ネコと人間の歴史[編集]

古代[編集]

ファイル:Egypte louvre 058.jpg
猫の像 - エジプト
ルーブル美術館所蔵)

現在世界最古のものとしてキプロス島シロウロカンボス遺跡で9500年前の飼い猫の化石が発見されている。 新石器時代もしくは石器時代後期から人類が既に猫をペットとして手なずけていたことを示唆している。 この猫の骨は人骨が埋葬されていた場所から凡そ40cm離れた場所に埋葬されていたが、遺体の保存状況、位置関係などから人間と猫はおそらく一緒に埋葬されたものであると考えられるという。 更に、これまでの調査で埋められていた人骨はおそらく高位の人物のものであり、猫と特殊な関係にあった人物のものであると推測でき、キプロスの同遺跡において猫が何らかの宗教的重要性を持った存在であった可能性も推測できるとしている。 もう一つの仮説としては新石器時代、中近東地域から農耕が広まり始め、穀物が保管されるようになるにつれて、ネズミが爆発的に増加したために、穀物庫の番人役として猫が村の中で重宝されたとするものがある。 また発掘された猫は年齢凡そ8ヶ月で、おそらくはその側の人間が死亡した際に、一緒に殺されて埋められたものであると推測できると話している。だが遺骸からは屠殺された形跡が見られないため、埋められていた猫はおそらく人間と同様に扱われていたことを示唆しているという。しかしまた、同時代の同地域の遺跡からは人間がそうした動物を食べていたという跡も発見されているということも報告されている。

この猫は現代の猫よりも身体の大きいリビアヤマネコ(Felis silvestris lybica)の種類に似ているものの、キプロスには元々は猫がいなかった為、おそらく人間の手によって運ばれてきた可能性が高い。 エジプトでは、ネコがライオンの代わりとして崇拝されていたし、バステト女神として神格化もされていた。ジェームズ・フレイザーの『金枝篇』によると、中世ヨーロッパでもネコは麦穂の精霊と同一視され、中国でもまた、(の時代には「猫」の字はまだなく、ネコには「狸」の字が充てられてはいるが)獣偏に苗と(正字では貉偏に苗と)書くように、稲穂の精霊とされていたという説もある。

猫がはたして家畜であるのかという問題に関しては、現在も議論が続いている。その理由は、「家畜」の定義が、その繁殖に関して人間が決定的に関与をするというものであるに対して、現在世界に分布する家猫の繁殖に関しては、実に8割近くがその管理外、つまりは放し飼いによる猫自身による自由な繁殖にまかされているという現実にある。

日本[編集]

日本においてネコが文献に登場するのは、『日本霊異記』に、慶雲2年(705年)に豊前国の膳臣広国(かしわでのおみひろくに)が、死後ネコに転生し、息子に飼われたとあるのが最初である。

日本においてネコが愛玩動物として飼われるようになったのは、一般に『枕草子』や『源氏物語』にも登場する平安時代からとされる。奈良時代ごろに、経典などをネズミの害から守るために中国から輸入され、鎌倉時代には金沢文庫が、南宋から輸入したネコによって典籍をネズミから守っていたと伝えられている。『日本釋名』では、ネズミを好むの意でネコの名となったとされ、また、『本草和名』では、古名を「禰古末(ネコマ)」とすることから、「鼠子(ねこ=ネズミ)待ち」の略であるとも推定される。(但し、他の説として「ネコ」は「寝子」、すなわち「ね」は「寝る」の意味で、「こ」は「小さいもの、身近なもの」の意味であるという解釈もある。)このように、ネコは蓄えられた穀物や織物用のを喰うネズミを駆除する存在として、古代から農家に親しまれていたとおぼしく、ヘビオオカミキツネなどとともに、豊穣や富のシンボルとして扱われていた。

江戸時代には、養蚕農家にネズミを駆除するための呪具として、猫絵を描いて売り歩く者も存在していた。絵に描かれたネコが、古寺で大ネズミに襲われた主人の命を救う『猫寺』は、ネコの効用を説く猫絵師などが深く関わって流布した説話であると考えられている。しかし、こうしたネコの穀物霊的特質は急速に失われ、わずかに『今昔物語』「加賀の国の蛇と蜈蚣(むかで)と争ふ島にいける人、蛇を助けて島に住みし話」における「猫の島」や、ネコが人々を病から救う薬師さまになったと語る『猫薬師』に、その性格が見えるのみである。

また日本の平安時代には位階を授けられたネコさえもいた。『枕草子』第六段によると、一条天皇定子は非常な愛猫家であって愛猫に「命婦のおとど」と名づけ、位階(従五位下と思われる)を与えていた(注)。ある日この猫が翁丸という犬に追いかけられ天皇の懐に逃げ込み、お怒りになった天皇は翁丸に折檻を加えさせた上で流したのだが、その翁丸はボロボロになった姿で再び朝廷に舞い戻ってきて人々はそのけなげさに涙して天皇も深く感動した。これが有名な『枕草子』第六段の翁丸の話である。ネコに位階を与えたのは、従五位下以上でなければ昇殿が許されないため、とされる。なお、「命婦のおとど」の「命婦」にも「五位以上の女官」という意味がある。

歴史のなかのネコ[編集]

ネコには上述・後述のように、さまざまな俗信がある。しかし正の面とともに負の面も強く持っていたことが興味深い。また、これほど人間との関係が密接ながら、西洋では星座、東洋では十二支の動物になり損ねた動物のひとつでもある。18世紀に天文学者によって「ネコ座」が作られたが、古代ギリシャ時代にはネコ座はなかった。また東南アジアの一部の国でネコを十二支のひとつとする国もある(主にウサギに代えて「」に当てる)が、日本・中国などではなかった。

農家にとって、ネコは豊穰と富を意味する生き物であったらしいが、豊穰というものは連続する再生(生産)であり、その為の死(消費)をも意味する。ネコの特徴として、光の量によって大きさの変化する瞳が挙げられるが、これはよくの満ち欠けになぞらえられた。月もやはり死と再生を繰り返すと考えられていた存在である。後世では、むしろこの死を司るという特質が強調されるようになり、ヨーロッパでは、ネコは魔女使い魔と見做されるようになった。

日本でも、ネコに道を横切られると縁起が悪いと言われるほか(ちなみに、“黒ネコに”前を横切られることを不吉として忌むのは、おそらくアメリカから伝わった迷信であり、英国では逆にこれを幸運のしるしとすることが多い)、岐阜県大野郡丹生川村(現在の高山市丹生川町)では、ネコが死者をまたぐと「ムネンコ」が乗り移り、死人が踊り出すといって、ネコを避けるために死者の枕元に刃物を置く、葬式のときはネコを人に預ける、蔵に閉じ込める、という習慣がある。また、愛知県知多郡日間賀島の「マドウクシャ」と呼ばれる百年以上も歳経たネコは、死人を取りにくるので、死人の上に目の多い筬(おさ)をあげてこの怪を防ぐという話が認められる。貧乏な寺に飼われていたネコが、世話になった恩返しのため、野辺送りの棺を空に上げて、飼い主の和尚に手柄を立てさせる『猫檀家』という説話もあり、これらの話は、ネコが死と再生のシンボルでもあったことの名残りであろう。

猫又などに代表されるように、3年、または13年飼った古猫は化ける、あるいは1、または2貫を超すと化けるなどといわれるのは、単なる付喪神(つくもがみ)の一種である。『鍋島の猫騒動』(佐賀化け猫騒動)をはじめ、講談で語られる『有馬の猫騒動』などに見られる化け猫、山中で狩人の飼いネコが主人の命を狙う『猫と茶釜のふた』や、鍛治屋の飼いネコが老婆になりすまし、夜になると山中で旅人を喰い殺す『鍛治屋の婆』、歌い踊る姿を飼い主に目撃されてしまう『猫のおどり』、盗みを見つけられて殺されたネコが、自分の死骸から毒カボチャを生じて怨みを果たそうとする『猫と南瓜』などは、こういった付喪神的なネコの話である。また、招き猫のように、猫には特別な力があると考え人間の側からお願いをするというものもあるが、これらも根は同一あるいは類似したものと考えられる。

なお、『和漢三才図会』でタヌキを「野猫」としているように、古くはタヌキをネコと呼んでいることから、ネコとタヌキは民俗学的には同一の存在である。中国では「狸」の字でタヌキのほかにヤマネコの類をも指したので、イエネコを「家狸」とも称した。なお、現代では野猫(ノネコ)は野生化した・人間社会から離れて暮らすイエネコそのものを指している。

イスラム世界では、預言者ムハンマドがネコを可愛がっていた、と伝えられており、現在でもネコは好まれる。

ネコと文化[編集]

ネコの性格は気まぐれとされ、行動・習慣はむしろ頑固で多分に自己中心的であり、イヌが飼い主のしつけによく反応し強い忠誠心を示すのとは対照的であると考えられている。これは、イヌが元来群れをつくる動物であり、飼い主を群れの仲間(多くの場合は自分よりも上位)と認識するのに対して、元来単独で行動するネコでは、そのようなことがないのが原因である。しかし、ロシアンブルーは人見知りではあるが飼い主に忠実であり、アビシニアンやソマリは人と遊ぶことを非常に好むなど、ネコの品種によっては、生まれ持って、人間の生活様式に順応した性格が備わっている。

また、ネコはイヌと同様に、人間に身近な動物であることや、擬人化しやすいことから、漫画・文学作品等のフィクションのキャラクターとしても多く登場する。これについては、Category:架空のネコネコを主題とする作品一覧架空の猫一覧を参照。

ネコを家畜としてみた場合の利用例としては、16世紀末に中国より日本本土に伝わった三弦の楽器が、猫皮を使用するようになり、これが三味線へと変化した。また、江戸時代には食用すべきでない獣肉の一つとして猫が記録されているが、一方では、貧乏書生が捕まえて煮て食ったなどの話も、夏目漱石の「吾輩は猫である」の冒頭などに見られる。昭和初期までは「おしゃます鍋」(「猫じゃ猫じゃ」の歌詞に由来、つまり猫鍋)なる言葉も残っていた。猫鍋は泡が立ち味が良くないと言い伝えられている。

琉球(沖縄)では近年まで猫食が残っており、1999年には無許可で猫肉を販売していた業者が摘発を受けている。中国やその影響を受けた一部の国では、滋養強壮等の薬膳として食べることもある。

死を悟ると死に場所を求めて姿を消すと言われるが、ネコには「死」の概念がないとされており、体調が悪化したり、致命的な傷を負った時などは、本能的な防御反応として、危険な場所から安全な場所へ身を隠そうとする。場合によってはそのまま死んでしまうことから、そう思われがちなだけであることが、2006年8月9日のトリビアの泉にて放送された。

人間はなぜネコを「かわいい」と思うのか[編集]

ネコはイヌと並んで世界中で親しまれているが、その一因にネコが「かわいい」ことが挙げられる。そのあまりもの可愛さに尋常でない愛着を示してしまう人も多い。人間がネコなどの動物を可愛いと思う理由は幾つかあるとされるが、その一つは、人間の赤ん坊に比較的近い特徴を持っていることによって生じる母性本能であると言われる。ネコが持つ主な特徴は次に挙げるようなものである。

  • 顔の大きさの割りに比較的大きな目
  • 目や鼻、口の位置
  • 体型や顔と身体のバランス
  • 丸顔
  • 「ニャー」に代表される鳴き声の質

これらの特徴が人間の赤ん坊と類似している。また、目などの顔のパーツが正面に位置していることが人間と共通である為、人間が本能的に「親近感」を持つとも言われる。

「ニャー」などの可愛い鳴き声は、子猫が親猫に対して発する声を人間に適用したものであると言われる。飼い猫によく見られ、人間(飼い主)を親猫同様に信頼していると考えられる。ネコが人間の赤ん坊の声を真似しているという説も存在する。

母性本能は哺乳類鳥類に共通のもので、人間以外の動物にも「かわいい」に相当する感情は存在する。人間の飼育下における異種間子育てなどはよく確認されている。

人獣共通感染症[編集]

ネコから人に伝染する病気をあげる。

ネコの品種一覧[編集]

ファイル:American curl.jpg
アメリカンカール
ファイル:Norwegian forest cat.jpg
ノルウェージャンフォレスト
ファイル:Scottish Fold cats.PNG
スコティッシュフォールド
ファイル:Adult Devon Rex Male.JPG
デヴォンレックス

en:Cat breedも参照の事。

ネコを含む慣用句[編集]

ウィキクォートを参照。

猫の別称[編集]

関連項目[編集]

Wiktionary
ウィクショナリーの項目があります。


山猫

外部リンク[編集]