野猫

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野猫のねこ)とは、ネコ科家畜であるネコ(イエネコ)が野生化したものである。しばしばカタカナでノネコと表記される。人間の生活圏に依存して生活している、いわゆる野良猫は、この中には含まれない。

イエネコは従来、ネコ科ネコ属のネコというとされてきたが、最近になって、ヤマネコ種の1亜種と見なされるようになった。すなわち、野生化したイエネコである野猫と、本来的な野生動物である一般的なヤマネコとは、亜種という低いレベルにおいて、形質的に異なるグループである。ただし、イエネコとその他のヤマネコとは、交雑することが可能であるし、実際にも、野猫とヤマネコ(日本には対馬ツシマヤマネコ西表島イリオモテヤマネコが生息する)の交雑は、多かれ少なかれ起こっているものと考えられる。

なお、かつて中国ではネコに「狸」の字を当てたが、日本でも、ネコやヤマネコと、それらと同様によく木に登るタヌキとの間に、古代よりイメージの混雑がしばしば見られる。 近世には中国の例に倣ってタヌキを「野猫」と表記した書籍もあるが、後述するように、タヌキと(現在「野猫(のねこ)」と呼ばれる)野生のイエネコとは、まったくの別物である。

概要[編集]

野猫は山野に広く生活するイエネコであり、穏和で一箇所に居つく性質の強い飼い猫などとは違い、比較的広い縄張りをもち、野鳥ネズミ昆虫などの小動物を獲って生活している。 人間社会に依存せず、自力で餌を獲り、人里にはあまり近づかないが、まれに田畑などに住むノネズミなどを獲る姿が見られる。 もちろん、特定の飼い主や住む家はない。

しばしば誤解されるところではあるが、いわゆる「野良猫」は野猫とは違い、人間の生活圏に依存しているため、到底「野生動物」と見なすことはできない。一方の野猫は、基本的に人間社会から独立して生活していることから、野生動物であるといえる。 生物分類上はいずれもイエネコだが、生活圏の違いをもって、便宜的に区別する。

特に人口密度の低い、自然の豊かな地域などでは、たとえ飼いネコであっても、その本来の習性に則って、野猫のように狩りをすることがあるのが、むしろ自然なことである。 よって、ただ自力で獲物を捕えることがある(できる)からといって、その個体が野猫であるということにはならない。 野猫の場合、通常、人間からはまったく餌を与えられていない。
ネコ科動物の例に漏れず、野猫も非常に警戒心が強く、人にはなつきにくい。 しかし、人間の手によって次第に餌づけされて野良猫化したり、さらには飼い猫として飼われるようになることも、ないことではない。

なお日本では近世まで、ネコとタヌキがイメージ上しばしば混同されてきた。「和漢三才図会」などに記される「野猫」はタヌキのことであり、本項で述べるところの野猫とは、言うまでもなく別物である。 ちなみに、タヌキは哺乳綱 ネコ目(食肉目) ネコ亜目(裂脚亜目) (イヌ上科) イヌ科 タヌキ属であり、ネコ亜目 (ネコ上科) ネコ科 ネコ属 ヤマネコ種の亜種であるイエネコとは、科の水準で異なるグループに属する。

法制上の野猫の位置づけと行政の扱い[編集]

日本において、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)関連の法の下では、野猫は捕獲できる野生動物に含まれる。 一方、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)においては、「愛護動物」に含まれる「ねこ」として、愛護すべき対象として挙げられている。

野猫・野良猫・飼い猫の区別がつけ難い以上、野猫は「みだりに傷つけてはいけない」対象なのか、それとも「狩猟してよい」獣なのかという点で、主に関連分野に属する市民や民間団体など、関係各所の意見が対立することがある。

動物愛護法上の愛護動物に関する規制については、同項目を参照。

対策[編集]

南西諸島では、在来種のイリオモテヤマネコが野猫との交雑により雑種化したり、ヤンバルクイナなどの希少動物が野猫やマングースによって個体数を激減させるなどの問題を招いている。 所轄官庁である環境省は、野猫やマングースの駆除によってこの問題に当たっているが、動物愛護団体との衝突を招いている。

小笠原諸島では、島固有の生物を襲う野猫を殺処分するのではなく、本土(東京)の動物病院に委託してイエネコ化させる取り組みを行っている。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]