年越し派遣村

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2010年1月4日 (月) 23:16時点におけるFromm (トーク | 投稿記録)による版 (日比谷公園撤収後)

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年越し派遣村(としこしはけんむら)とは、複数のNPO及び労働組合によって組織された実行委員会が2008年12月31日から2009年1月5日まで東京都千代田区日比谷公園に開設した、一種の避難所である。

湯浅誠
湯浅誠


概要

キャッチコピーは「日比谷で年末年始を生き抜く。[1]

イベントの発起は、湯浅誠によると「同様の問題意識を持つ人たちと昨年暮れに、東京・飯田橋の居酒屋で飲んでいて、話が決まった」という[2]

2008年12月31日に日比谷公園の霞門付近に開設され、自立生活サポートセンター・もやい全国コミュニティ・ユニオン連合会などが中心となって組織された実行委員会が、炊き出しや生活・職業相談、生活保護申請の先導を行った。また、ハローワークが業務を開始する1月5日までの簡易宿泊所を設置した[3]

2009年1月2日には、実行委員会からの要請によって厚生労働省が自省の建物内にある講堂を、同省が業務を開始する1月5日の午前9時まで宿泊所として提供することになった[4]。一方、実行委員会では、1月5日以降の宿泊場所も提供するよう同省に要請し、この結果、中央区に2箇所、練馬区山谷に各1箇所、計4箇所の臨時シェルター設置が決まった。同年1月5日、派遣村の撤収作業が行われた。

期間中に派遣村を訪れた失業者はおよそ500人、参加ボランティアは1680人、寄せられた義捐金は2315万円となった[5]

実態

「不平を言えば融通が利く。みんな“ごね得”だと気付いている」。4日閉所した東京都の「公設派遣村」を出た男性(34)は“村”での生活をこう皮肉った。派遣村では開所以来、行政側と入所者の衝突が絶え間なく続いた。職員の口のきき方への不満に始まり、昼食代の現金支給を求める入所者…。当初、目的だったはずの就職相談は不調に終わり、職員は最後まで入所者への対応に右往左往した。

■就労相談わずか1割

都は3日夜、この日退所した833人のうち住居を見つけられなかった685人のため、4日以降の新たな宿泊先に400人分のカプセルホテルを用意。残りの入所者には、都の臨時宿泊施設を割り振ることを決めた。だが、いざこざはここでも起きた。入所者の1人は冷笑を浮かべて言う。

「その夜も『なぜ全員がホテルに入れないのか』と騒いだら泊まれることになった」

入所者の抗議と厚労省などの後押しで、都は決定を覆す。抗議の数時間後にはカプセルホテルを追加で借り上げた。「騒ぎが大きくなったので…」と職員は言葉少なに語るのみだ。この1週間で本来の目的の就労・住宅相談に訪れた入所者はわずか1割。「正月休みに相談しても仕方ない。派遣村では一時金がもらえるとのうわさもあった。それ目当てで入った人も多い」との声も漏れた。

■想定超す利用者

一方で、自力で社会復帰への第一歩を踏み出した入所者も。退所を選んだ男性(67)は「入所中に友人の会社に就職が決まり、社宅に住めることになった。年末年始に泊めてもらって感謝している。食事もおいしかった」と語った。

だが、この男性のように新たな職や住居が決まったのは少数だ。利用者数は当初の想定を超え、約6000万円と考えられていた費用も大幅に膨らむ見込み。費用はすべて国の負担で、都の幹部は「結局、政治のため」とぼやいた。

日比谷公園撤収後

1月4日、厚労省と東京都は5日以降の簡易宿泊施設として中央区京華スクエア体育館、中央区十思スクエア体育館、東京都石神井学園用体育館、山谷地域越年越冬対策宿泊援護事業なぎさ寮を12日まで提供し、毎日500人分の宿泊所と食事を提供することを決定した[6]

1月5日、全国労働組合総連合日本自治体労働組合総連合街宣車による先導のもと、「村民」らが日比谷公園から国会議事堂までデモを行う。参加者は「総選挙で政治を変えよう!」、「消費税値上げ反対!」とシュプレヒコールを上げた[7]

1月9日までに派遣村に集まった人のうち223人が生活保護を申請し、大半の人間へ受給が決定している。12日以降は、実行委員会が東京都内の2つの旅館を借りて宿泊場所や食事を提供することを決定した[8]

派遣村から移った都内の施設でハローワークが出張実施している就職相談では、住み込みで働ける仕事を中心に4000件以上の仕事が紹介されている。9日までに求職の登録をしたのは125人と、生活保護を申請した約半数である[9]

2009年7月の産経新聞で、集められた寄付金は5000万円に達したが、その使途明細が公表されることなく派遣村が解散したと、報じられた。また同記事において就労が確認できたのは13人と報じられた[10]

  • 雇用促進住宅の低価格住宅を、山奥にあると非難して入居しない→港区、西東京市、八王子、町田などにもあるのに、なぜかあきる野市のことだけ
  • 旧公団(UR)が特定の空き部屋を2割引で貸し出す上に、敷金なども配慮したのに入居しない
  • ワタミなどの人手不足企業が、全国で500人の雇用を発表したのに枠が全然埋まってない。「接客業は経験がないので・・・」と断る者多数。
  • 介護業界が「ぜひ来て!」と呼びかけるも、まったく枠が埋まらない
  • 派遣村にやってきて、生活保護だけは申請する

年越し派遣村に関する発言や対応

政府など

当時の与党からは自由民主党大村秀章厚生労働副大臣片山さつきが、野党からは民主党菅直人日本共産党志位和夫社会民主党福島瑞穂国民新党亀井久興新党大地鈴木宗男などが派遣村を視察、スピーチする。これに関しては賛否両論がある[11]

麻生太郎内閣総理大臣は1月3日、厚労省講堂の使用期限が切れる5日以降について、河村建夫内閣官房長官に「今は講堂を使っているが、その後のこともある。対応に万全を期してほしい」と指示した[12]坂本哲志総務大臣政務官は「本当にまじめに働こうとしている人たちが集まっているのかという気もした」「学生紛争の時の戦術、戦略が垣間見えるような気がした」と述べた[13]。この発言は野党の他、与党である公明党太田昭宏代表からも批判を受け[14]、坂本は翌日に記者会見を開いて発言を撤回し、謝罪した[15]。一方で、この発言について擁護論もある[16]

石原慎太郎東京都知事は1月5日、年頭の挨拶で「(この問題について)厚生労働省はどう対応したらいいか分かっておらず、結局、ボランティアや地方自治体が協力して成果を挙げた。本当に国は大事な現場を知らない」と述べ、派遣村の取り組みを評価し同省の対応を批判した[17]

派遣村に手伝いに行った新党日本田中康夫は、その時の印象から「テントを張っている人々は突如企業からクビを切られたような人では無く、日々飯場のような仕事をしている人であり、「日比谷公園に行けばメシが食えるらしいぞ」と聞きつけてやってきた人が多かった。」「(共に運動をしている)日教組連合、共産党系の組合などは、いくつもある自分達の組織の施設を開放するなど、やるべきことがあるのではないか」「組合や政党が参加していた事に違和感を覚え、村長の湯浅氏が考えていた事と違う方向へ行ってしまったのではないか」と語った[18]

マスメディア・芸能界

コラムニストの勝谷誠彦は、「何故、日比谷公園という皇居から近い好立地条件で開催するのか理解できず、大阪市西成区にあるあいりん地区のような本当の貧困とは程遠い人間が集まったものである」と述べる[19]

みのもんたは『みのもんたの朝ズバッ!』で、「(ハローワーク関係者から聞いた話として)求人はたくさんあると言うんですよね。だけど『アレがいい、コレがいい』と言っている。」、「政府も努力をしなければいけないでしょうけれど、派遣を切られたりとか、職が無いとか、と言う方たちも何か努力しなきゃいけないですよね。権利だけを主張して『住居を、食べ物を』って言うけれど、仕事があるなら、(気に入らなくても)とりあえず仕事をしたらどうなのかと思うことがある。」と語る[20]

ワタミ渡邉美樹はTV番組内で「人のせいにしちゃ駄目、被害者意識が強い」「何故貯金持ってないの、おかしいでしょう」「今まで税金払わないで何考えて生きて来たのか」と、「人生の歩み方」に問題があるとし、派遣切りを報じたマスメディアに対しても「マスコミは過保護すぎる」と述べる[21]徳光和夫も、同番組内での失業した若者に対するインタビューで、「このまま行くと、言い訳だけの人生になってしまうんじゃないですか?」と問いかけ、「(年越し派遣村には)仕事をやる気はある、人生をやり直そうとは思っているんだけども、なかなか(第一歩が)踏み切れないというところに甘えが見える。そういった人達が非常に多かった。」と締めくくった[21]

作家の雨宮処凛は、派遣村の活動を高く評価し自身も支援活動に参加した[22]。さらに一部のコメンテーターの中には、失業者の被害者意識を非難するコメンテーターを逆に非難する向きもあった。

運営体制

名誉「村長」
宇都宮健児 - 反貧困ネットワーク代表・弁護士
「村長」
湯浅誠 - 特定非営利活動法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長
主催
「派遣村」実行委員会
事務局
全国コミュニティ・ユニオン連合会

脚注

  1. 公式ウェブサイトの右上隅に書かれた文章である。
  2. MSN産経ニュース 検証・「年越し派遣村」 その実態は (1/3ページ)
  3. 年越し派遣村 「年越し派遣村」~「派遣切り」「解雇」「契約更新拒絶」など…被害者の労働相談、住居相談、生活相談の窓口を開設します
  4. 年越し派遣村 厚生労働省の講堂の開放かちとる!
  5. 毎日新聞 「年越し派遣村:失業者ら「今日からが勝負」撤収作業開始」
  6. 年越し派遣村 厚生労働省と東京都が500人分の住と食を保障と決定!
  7. MSN産経ニュース 検証・「年越し派遣村」 その実態は (3/3ページ)
  8. 年越し派遣村 “派遣村”12日から旅館へ
  9. 読売新聞 [1]
  10. 産経ニュース7月23日
  11. 日刊ベリタ - 「派遣村」撤収 国会へデモ、御手洗経団連会長には公開質問
  12. 時事ドットコム 「派遣村」への対応に万全を=麻生首相
  13. 毎日新聞 派遣村:「本当に働こうとしている人か」と坂本総務政務官
  14. 時事ドットコム 坂本発言を批判=太田公明代表
  15. 読売新聞 坂本総務政務官が"派遣村発言"を撤回・謝罪
  16. J-CASTニュース - 派遣村「真面目な人なのか」発言 ネットでは擁護論目立つ、2009年1月6日。
  17. MSN産経 - 石原知事、派遣村問題で国に苦言「大事な現場を知らない」
  18. TBSラジオ - 2009年1月5日 BATTLE TALK RADIO アクセス
  19. 2009年1月7日放送『ストリーム』(TBSラジオ)「コラムの花道」での発言。
  20. J-CASTテレビウォッチ - 派遣村は過保護では?みのもんたが大疑問。
  21. 21.0 21.1 2009年1月11日放送 『Theサンデー NEXT』(日本テレビ)での発言。
  22. 雨宮処凛がゆく! 第84回 年越し派遣村のお正月。の巻

関連項目

外部リンク