Flickr

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Flickr(フリッカー、フリックガンマ)は、デジタルカメラなどによる写真を共有するコミュニティサイトである。

概要[編集]

個人で撮った写真をウェブ上で整理・分類・展示しておけるほか、見知らぬ人と共有して互いにコメントを書き込むこともできる。こうした画像掲示板ソーシャル・ネットワーキング・サービスのようなコミュニティとしてユーザーに人気が出ただけでなく、ブロガーの間で写真の共同保管・共同利用の場所としても広く使われることで巨大化した。

同様の写真アップロードサイトと比べて人気の出た原因は、Flickrでは誰かがアップした写真にだれでも自由に「タグ」と呼ばれるキーワード(メタデータ)を付けて分類することができ、タグを通して他のユーザーとコミュニティを形成したり、タグをたどるうちに予想もしなかった写真に出くわす楽しさがあることである。このような、データに対する各個人による自由なタグ付けや分類は「フォークソノミー(folksonomy、万人による分類という意味の造語)」と呼ばれ、ソーシャルブックマークなどでもフォークソノミーによる分類やコミュニティ形成が見られるが、Flickrはその先駆的サイトといえる。また誰でも編集に参加できるWeb 2.0の代表的なサイトとして取り上げられることもある。

歩み[編集]

Flickrはカナダヴァンクーヴァーに本拠を持つルディコープ社(Ludicorp、2002年に創業)が2004年2月に開設した。Flickrのサービスは、ルディコープ社が開発していた大規模多人数参加型オンラインゲームMMOまたはMMOG)『Game Neverending』のために開発されたツールを流用した物である。しかし、Flickrの方がより企業化できそうな事業であることが分かったため、『Game Neverending』の開発は棚上げになってしまった。

初期のFlickrの姿は、写真を共有することで多人数がチャットを楽しむマルチユーザーチャットルーム『FlickrLive』に焦点を合わせたものだった。その後の技術開発は、各ユーザーによる写真アップロードと分類をスムーズにするためのバックエンド(後処理系)に集中され、チャットルームはいつしかサイトの中に埋もれてしまった。その後、チャットルームのセキュリティの甘さを悪用して、ユーザーが他のユーザーの写真を断りなく削除してしまう荒らしが発生したため、チャットルームは閉鎖された。

2005年3月、ルディコープ社とFlickrは米Yahoo!により買収された。同6月28日、カナダのサーバにあったコンテンツはすべてアメリカのサーバに移され、すべてのデータはアメリカ合衆国の連邦法の適用を受けることとなった。

この買収により、それ以前から米国Yahoo!のIDを持つ者は、そのIDで直ちに利用開始が可能となった。

特徴[編集]

タグとセット[編集]

Flickrは、登録したユーザーに対し、Flickr内の写真に『タグ』(メタデータの一種)と呼ばれるキーワードを付けて自由に分類することを許可している。撮影場所、撮影対象などを表すタグがあることによって、何かについての画像を調べたい者は簡単にFlickrの中から画像を検索することができる(例えば、「台湾」、「結婚式」、「ベルリンの建築」、「パール・ジャム」、「ホノルルマラソン」など)。またFlickrは最も検索数の多いキーワードのタグをつけられた写真へすぐアクセスできるページも多数備えている。人気のあるタグ過去7日間に人気のあった写真 ユーザーが独自に作成したタグを許可することにより、多くのユーザーがタグ付けや奇抜なタグ作成、タグをたどった写真閲覧やコメント付け、コミュニティ形成にはまるようになり、「フォークソノミー」の最も効果的な例として挙げられるようになった。Flickrは最初に「タグクラウド(Tag cloud、フォントの大小で人気のあるタグを一目で分かるようにした表示方法。[1]」を実装したサイトの一つでもある。

Flickrは各ユーザーのトップページに、複数のお気に入り写真のサムネイルを同じ標題のもとにまとめた「セット」を作ることも許可している。ここでいうセットは伝統的なフォルダを使ったファイル整理方法よりもっとフレキシブルなもので、一つの写真が複数のセットに同時に入ることも、一つのセットだけに入ったりセットに入らなかったりすることもできる。(このコンセプトはGoogleGmailにおける「ラベル」ときわめて類似している。Gmailではメールを一つのフォルダに入れてしまうのではなく、同じメールに「妻」「約束」など複数のラベルを貼ることでどちらのラベルからでもメールを検索することができる。コモンズに送信された画像に複数のカテゴリを付けることが出来る、ということにも似てる。)それゆえFlickrの「セット」は、フォルダの階層による物理的なヒエラルキーというより、分類されたメタデータを表したものと言える。

Organizr(オーガナイザ)[編集]

「Organizr」という機能は、その名の通り写真を「オーガナイズする」(系統立てる)機能であり、ユーザーが自分の写真や共有の写真の管理をWebブラウザ上のFlickrのインターフェイスの中だけでできるようにしたものである。タグの管理、写真への解説付け、セットへのまとめなどができ、Macromedia Flashを使って写真の見え方や質感などもデスクトップで管理できるアプリケーションである。こうした機能により、Organizrはウェブ・インターフェイスでは厄介だった複数の写真の一括管理をも簡単にすることに成功している。

プライベートモードと公開モード[編集]

Flickrは個人的な写真保存スペースと、ネット上に開かれた共有保存スペースの両方を提供している。画像をアップロードするユーザーは、その画像を見ることのできる範囲を決めるプライバシー管理を行うことができるため、各画像は公開状態のままにすることもプライベートに設定することもできる。プライベートの場合は、仕様ではアップロードしたユーザーのみが閲覧・整理できることになるが、見ることのできる人の範囲を友人や家族などまで広げることもできる。プライバシーの設定で、ユーザーの個人的な画像を「グループ・プール」(友人または同じ趣味をもつもの同士で形成したグループが共有する画像庫)に移すこともできる。グループがプライベート・モードの場合、グループのメンバーだけが画像を見ることができる。グループが公開モードの場合、写真は当然ネット上のすべてに公開されることとなる。Flickrは「コンタクト・リスト」と呼ばれる、自分の作った画像へのアクセスを数人のユーザーだけに限るための管理機能も用意している。こうしたプライベートモードのもとでは、Flickrは招待された人々だけが写真やコメントを見ることのできるソーシャル・ネットワーキング・サービスと同じように機能することになる。

一方で、ユーザーの多くはアップロードした写真を誰でも見られる状態にしており、彼らはネット最大級の共有写真データベースを共同作業で作成・分類しているといえる。プライバシーの設定がない状態では、ユーザーは誰でも見ることのできる写真にはコメントを残すことができる。また、その画像に関連したキーワードのタグを加えることもできる。

相互連関と互換性[編集]

FlickrはRSSフィーダーやAtomフィーダーを提供しており、またApplication Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)も提供されているため、ウェブ開発のできる者なら誰でも機能を拡張することができる。

サイトの基本となる機能は標準的なHTMLHTTPに準拠しているため、幅広いOSやブラウザで閲覧することができる。テキスト編集やタグ付けには、ほとんどのブラウザが承諾しているAjaxを利用している。Organizrには広く使われているMacromedia Flashの技術が使われるなど、Flickrというサイトがどのような環境からでも使えるよう工夫されている。また画像投稿はブラウザからだけではなくメールからでも行える。

ライセンス[編集]

Flickrはユーザーに、ある種の共通使用ライセンスのもとで画像を提供するよう依頼している。ライセンスの中には第一にクリエイティブ・コモンズがあり、またその他の著作権管理ライセンスも用意されている。

Wikipediaとの関係[編集]

Wikipediaで使われている画像には、撮影者・作成者以外によってFlickrから転載されたものも多い。その場合はFlickrの画像はローカルではなくウィキメディア・コモンズにアップロードされなければならない。転載可能な画像はAttribution LicenseおよびShareAlike Licenseが伴なうものだけである。非営利(nc)や改変禁止(nd)の写真は転載する事は認められない。これはWikipediaが自由に利用可能な百科事典を目指しているためであり、束縛の強いライセンスは拒否されている。

具体的にはFlickr内のライセンス種別による次の検索ページ[2]において、一番上の「Attribution License」(約300万点)、および一番下にある「Attribution-ShareAlike License」(約200万点)から検索してヒットした画像だけが自由に転載可能である。

この時、

  • 「Attribution License」に対しては{{cc-by-2.0}} というライセンスを
  • 「Attribution-ShareAlike License」 に対しては {{cc-by-sa-2.0}} というライセンスを、

コモンズにアップロードするさいに、それぞれ明記しなければならない。残りの注意点は次の五点。

  • 画像の著者として、Flickrへ写真をアップロードしたユーザーの名前と、そのユーザーのページへのリンクを貼ること
  • 画像のソースとして、画像のあったFlickrの元ページへのリンクを貼ること。
  • あとで他の人がその画像を検索しやすいように、英語での簡単な説明と、カテゴリを与えること
  • {{flickrreview}}というタグを貼ること。転載時のライセンスに関するミスを防ぐために、このタグを貼っておくとボット「FlickreviewR」が自動で巡回してきて、正しい転載になっているかをチェックしてくれる。チェック前は詳細ページに「チェックがまだです」という旨の表示がされるが、チェックがおわると「確認しました」という旨の内容が自動で書き込まれ、「正当なライセンスによる転載である事を確認済み」のカテゴリに配属される。それ以外の場合は「正当でない転載」、「手動による確認待ち」のカテゴリに配属される。
  • 最後にFlickrユーザーへの敬意と感謝。挨拶は特に必須項目ではないが、心の中だけでも感謝の気持ちを忘れずに!

以上である。

またもしあなたがFlickrのアカウントを持っている場合は、FlickrからWikipediaに転載した場合や、転載された画像を発見した場合に、感謝の気持ちを込めて、写真の撮影者に対して次のようなコメントを寄せると喜ばれるだろう。Flickrのコメント付加機能を使って、以下の文章と転載先のコモンズのアドレス、およびこの記事へのリンクを送信するとよい。

"Thanks for licensing this CC-BY! Your choice of a free license has allowed us to use your image in <a href="http://commons.wikimedia.org/">Wikimedia Commons</a>."
http://commons.wikimedia.org/wiki/Image:Commons-logo.svg (例)
http://ja.wikipedia.org/wiki/Flickr (例)


アーキテクチャ[編集]

ルディコープ社のウェブ開発リーダー、カル・ヘンダーソン(Cal Henderson)はFlickrのバックエンドを2005年のヴァンクーヴァーでのPHP Associationでかなり明らかにした。その際のパワーポイントでのプレゼン内容は次の通りである。presentation

Flickrのプラットフォームは以下のような仕組みで形成されている。

FlickrのYahoo!による買収とヤフーのサーバへのデータ移転で、ImageMagickの使用は終了した。 [3].

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

サードパーティによる便利なツール[編集]

  • FlickrDownloadr 注目度の高い"Interestingness"の写真をまとめてダウンロードし、PCやW-ZERO3の壁紙サイズに変更するツール。
  • GROU.PS, a free groupware tool for many web service providers, including Flickr too
  • Mobup, an open-source application to manage uploads from Java enabled cameraphones.
  • FlickrS60, an open-source application to manage uploads from PythonS60.
  • Retrievr, an experimental service which lets you search and explore in a selection of Flickr images by drawing a rough sketch or uploading an image.
  • Spell with Flickr - spells out words using letters in Flickr photos.
  • fd's Flickr Toys - online Flickr tools and games.
  • Flickr Montager - Create realtime photo mosaics using images from Flickr.
  • Flickr Related Tag Browser
  • Slickr - a ticker that pulls images from Flickr and scrolls them along the side of your desktop.
  • Flickr Color Picker A Flickr Based Color picker
  • Flickr Posters Posters made of images in flickr - Very Impressive and surreal
  • The Most Interesting Pictures By... View other users most intersting images.
  • Mappr! Where It's At Places flickr photos on a US map.
  • Bubblr A tool to create comic strips using photos from Flickr.
  • Phrasr A tool to illustrate every word on a phrase with Flickr images and show them as an slideshow.
  • Irvine 古いWindowsでも快適に動作し、flickr.dmsを使って効率的に画像をDL出来る。

Flickrを使ったゲーム[編集]

  • fastr - フリッカーからの写真が10個順番に表示される。これらに共通するタグに早く気付けば得点が高くなるゲーム。
  • matchr - フリッカーからの写真が表示される。同じタグを持つ写真をより早く、より少ないミスですべてペアにするゲーム。
  • Flickrball - 六次の隔たり、またはスモール・ワールド現象を使った『ケヴィン・ベーコン指数ゲーム』のFlickr版。いくつかの写真とタグ一つが表示され、写真につけられた他のタグを使って最後のタグまでいかに少ない回数でたどり着けるかを競う。
  • memry - Flickrの写真を用いた古典的な記憶ゲーム。好きなタグを指定するとペアになった8つの写真(計16枚)が裏向きに表示され、2枚ずつをめくってペアを早く全部見つけるゲーム。
  • flickr sudoku - FLickrを使った数独ゲーム。1から9の数字の代わりに、9枚の写真を数独と同じようにマス内に配置する。
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