全国独立UHF放送協議会

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全国独立UHF放送協議会(ぜんこくどくりつユーエイチエフほうそうきょうぎかい、Japanese Association of Independent Television Stations)とは、地上系によるテレビジョン放送を行う日本国内の放送局のうち、いわゆるネットワークに属していないもので構成される団体である。略称はJAITS独立U協。幹事社はテレビ埼玉[1]

本協議会に所属する放送局は、UHF帯による放送を行っている事、及びキー局の系列ネットワークに参加していない事から、「独立UHF放送局」と呼ばれている。

概要[編集]

2009年4月現在で13の放送局が協議会に加盟している。

参加している民放テレビ局(以下「独立UHF局」)は、キー局を中心としたテレビネットワーク系列に属さない、又は属する事ができない局である。日本の地上波民放テレビにおいては、ネットワークセールス枠に限りキー局がネットワーク系列に参加する地方局にスポンサー付きでネット保証金を支払い、系列地方局はこれを受けてネット放送を行うのが一般的であるが、既存の系列局が存在する広域放送エリア(広域圏)の一部に於いて開局した県域局はテレビネットワークに参加できず、ネットワークセールスの対象になり得なかったためである。従って理論上は関東中京近畿の3つの広域圏内(16都府県)に独立UHF局開局の可能性がある[2]事になるが、実際には茨城愛知大阪の3府県には存在しない(後述)。

ネットワークセールスの対象にならない事から安定的な収入が少ないため、経営が苦しい局も多い。しかし、広域放送各局の番組は都府県別のローカル情報が県域放送に比べて相対的に不足する事や、キー局の番組編成の影響が強いテレビネットワーク系列局とは比べものにならない自由な編成が可能であるという利点も見逃せない。また、系列とは関係ない点を逆手に取り、自局の映像をキー局すべてに送る[3]ケースや、逆に広域局と重複して番組を受けた上で大半を自社制作に差し替える(高校ラグビー)といったケースもこれまで実際に存在している。

前述の通り、広域圏のうち茨城・愛知・大阪の3府県には独立UHF局がない。1979年テレビ埼玉が開局したのを最後に、独立UHF局の開局自体が途絶えていたが、1995年には東京都が出資した都域ローカルのテレビ局東京メトロポリタンテレビジョンが開局。(ただし開局後しばらくは協議会に加盟せず)長らく独立UHF局が存在しなかった栃木県にも1999年とちぎテレビが開局した。

  • 栃木県とともに独立UHF局が存在しなかった茨城県ではAMラジオ県域局の茨城放送ラテ兼営での開局を目指していたものの予備免許取得に至らず断念。地上デジタルテレビジョン放送への移行を目前に控えての現段階では県域放送局を運営する会社の設立目処も立たなくなり、その結果地上アナログ放送の新規開局用周波数割り当てが取り消されてしまった[4]ため、同県での独立UHF局開局は早くても地上アナログ放送終了後まで先送りされる結果となった[5]。なお、独立UHF局がない中京広域圏の愛知県と近畿広域圏の大阪府にはテレビ東京系の県域放送局が存在するため、複数の県域放送局を開局する動きも見られず、独立UHF局用の電波割り当てもないのが現状である。[6]

名称について[編集]

独立UHF放送局は以下のように呼ばれる事がある[7]

  • 「全国U局」「独立UHF系」「独立UHF局」「独立U局」「UHF系」「UHF局」「U局」「地方U局」「県域UHF局」 「独立局」

これは広域放送各局の中で親局がUHFの中京テレビを除きVHF放送となっているため、これらと対比した用語として通称されているためである。だが、全国的に見れば親局がUHF波で送信しているキー局系列局は多数存在している上、UHF放送で行われるデジタル放送に完全移行すれば地上波のテレビ放送はすべてUHF波送信に統一されるため、この用語は実態にそぐわなくなると言える。

加盟局同士のつながり[編集]

近年は近県のテレビ局が連携したり、また関東・中部・近畿の独立局の一部が共同制作機構を結成したりすることで、加盟局同士のつながりを深める動きが高まっている。

2007年10月1日にスタートした緊急地震速報は、開始当初テレビ神奈川・三重テレビ・サンテレビの3局で、2008年3月1日から岐阜放送、4月1日からテレビ埼玉、7月1日からとちぎテレビ、7月7日からTOKYO MXでも運用が開始した。現在は計7局で運用されているが、それ以外の局では実施時期が未定である。機材の準備が間に合わずメドが立たないのが最大の理由で、他局の運用の実態を見ながらいつ導入するか検討したいという。要出典


番組編成の特徴[編集]

  • 編成の自由度が飛躍的に高い。これはネットワークに縛られる事が多い日本の地上波民放テレビに於いては画期的な事である。もっとも、放送法は独立U局の様な編成をする放送局を念頭に置いて制定されている。また、独立U局同士での番組供給も行っている。
  • ネットワークの制約が少ないため、自社制作能力が高い。特にtvkは自社制作率が45.5%と最も高く、テレ玉(39.1%)・TOKYO MX(36.8%)・群馬テレビ(34.3%)[8]が続いている。将来、地上波民放各局の再編が行われた場合、独立U局は再編後の地域密着度においてモデルになる可能性が高いという指摘もある[9]。特に関東地方はtvk、近畿地方はSUNが中心となる可能性が高い。
  • 編成の自由度の高さが、番組の放送時間や内容に現れることがある。
民放5系列に属する局では制作局を含めてノンプライムで放送されている番組が、独立U局ではプライムタイムに時差放送している事例がある(サンテレビでの『水曜どうでしょう』・KBS京都での『ウチくる!?』・びわ湖放送での『ハロモニ@』など)。また、放送エリアにあるプロスポーツチームが出場する試合の生中継や関連番組を放送したり、地域の祭りやイベントをゴールデンタイムに生中継するなど、より地域に密着した番組を放送することが可能となっている。
  • 東海から近畿地方にかけては、テレビ東京系列番組のネットが多い(サンテレビを除く)。これらの地域は系列局であるテレビ愛知もしくはテレビ大阪県域局である(但し、隣接地域では区域外受信がなされている場合がある)ため、域外の独立U局が一部番組をCM差し替えで同時ネットしている。
主なネット番組としては『NEWS FINE』や『ワールドビジネスサテライト』といった報道番組、『メガスポ!』などの情報番組やゴールデンタイムの番組が多い。またアニメ番組も一部ながら放送されており、中には同時ネットのものも存在する。もちろん、独立U局である立場をフルに活かし、自社制作番組など編成上優先したい番組がある場合は遠慮なく差し替えている。[10]
  • 民放5系列に属する局制作の番組のうち、地元広域局がネット受けしない番組を放送する事がある。反対に、独立U局制作の番組が民放5系列に属する局で放送される事もある[11](但し、後者は深夜または夕方などローカル枠での放送が多い)。また、番組によっては広域局および独立局の両方で放送するケースもある。
一例として、テレビ朝日系列の北海道テレビ (HTB) が制作している「水曜どうでしょう」シリーズが挙げられる。この番組は関東広域圏内にあるすべての独立U局 (MX, CTC, tvk, TVS, GYT, GTV) に加えてキー局であるテレビ朝日でも放送された。また、近畿地方ではABCテレビでのネット終了後、KBS京都・サンテレビでの放送が始まり、その後ABCテレビでも再び最新作を放送する形となった。[12]

番組内容における編成の特徴[編集]

  • UHFアニメ
    • いわゆるUHFアニメについては、首都圏トライアングル参加局(tvk・テレ玉・チバテレビ)のいずれかが幹事局となったアニメ番組のほとんどを関東・中京・関西圏では独立U局がほぼ優先的に放送している。但し、前出したテレビ東京系列の番組を多くネットする各局および群馬テレビは同アニメの放送が非常に少ない。また、とちぎテレビでの放送は極めて稀である。
  • テレビショッピング
    • 民放5系列に属する局に比べてテレビショッピングが放送される比率が高い。これらの局が深夜から早朝に放送する事が多いのに対し、独立U局は午後にも頻繁に放送している。これはスポンサーのつかない番組枠を補う事が第一の理由であるが、近年テレビショッピングの枠は増加傾向である。昭和天皇崩御に関する特別番組が中京・関西の独立UHF放送局でも同時ネットされ、サンテレビでも放送されたケースがある。
ex:人気アニメ「ポケットモンスター」は他の46都道府県では放送されているにも拘わらず[13]、兵庫県ではテレビ大阪やテレビせとうち山陰放送四国放送が視聴できない地域ではBSデジタル放送BS-JAPANでの放送しか視聴できない。
  • なおテレビ東京はテレビ大阪の兵庫県・京都府への放送対象地域拡大案を発表しているが、同局開局時にサンテレビやKBS京都などの猛反対を受けて広域局としての開局を断念に追い込まれた経緯がある事から、難航は必至と見られる。

また、関東広域圏に位置する局についてもTVO制作の「石橋勝のボランティア21」など少なからず同系列の番組が放送されている例が存在する。

なおTOKYO MXについてはテレビ東京系列でしか流れていない同局の通信販売番組「てれとショップ(テレビ東京ダイレクトが運営)」も放送されている。

日本テレビ系列[編集]

  • TOKYO MX以外の独立U局12局が、全国高等学校サッカー選手権大会の中継に参加しており、各局放送地域の府県代表の試合(放送地域の代表敗退後は近隣都府県の代表の場合もあり)を放送しているほか、各局アナウンサーが応援席レポーターや稀に実況アナウンサーとして中継に登場することがある。
  • 日本海テレビが制作に深く関わっているプリン・スは中京広域圏以外の独立U局でネット受けされている。中京広域圏では独立U以外で唯一テレビ朝日系のメ~テレ(かつて日本テレビ系とのクロスネット関係にあった)がネット受けしており、結果的に3つの広域圏ではすべて日本テレビ系以外の局がネットしている事になる(3大都市圏以外でも日本テレビ系でない地域は非常に稀)。
  • かつては関東広域圏の局(テレ玉は除く。詳細はプロ野球トップ&リレー中継の項目及びTVSヒットナイターの項目を参照の事)に於いて巨人戦ナイターのトップ&リレー中継が放送されていたが、日本テレビでの放送時間の延長、CS放送などによる中継に移行した事から現在では行われていない。
  • 関東地方の独立U局(TOKYO MX、とちぎテレビを除く)は一定時期までNNSにオブザーバー参加(正式加盟はしていない)していた。現在も友好関係があり、読売テレビ製作委員会に参加して製作したUHFアニメを放送しており日本テレビ系列でのコンクールやイベントなどについては関東地方の独立局が各エリア大会の開催団体になるなど協力関係にある。
  • 昭和天皇崩御関連特番は(当時NNSへオブザーバー加盟している関係上)日本テレビからの番組供給を受けて当時開局していた関東の4局(tvk・チバテレ・テレ玉・群馬テレビ)にも同時ネットした。この時のNNNニュースも一部はそのままネットされた。

テレビ朝日系列[編集]

TBS系列[編集]

  • 全国高等学校ラグビーフットボール大会の中継に独立U局(TOKYO MXを除く)も参加していたが、住友グループが番組提供から撤退した第82回以降は独立UHF放送局での中継撤退が進み、第85回大会以降はKBS京都のみになった。
  • ニューイヤー駅伝群馬県で開催している事もあり、群馬テレビ (GTV) でも放送されている(同局のスタッフやアナウンサーも番組スタッフとして特別協力。群馬県内ではTBSとGTVの2局で見られる)。
  • TOKYO MXの設立にはTBSが深く関与している。

フジテレビ系列[編集]

  • 三重県の三重テレビ放送 (MTV) は東海テレビ (THK) と資本関係があり、MTVの中部支社も東海テレビ放送別館のテレピア内にある。また、MTVの東京支社は同局の大株主である中日新聞東京本社東京新聞)やTHK東京支社が入っている日比谷中日ビルにある。また、関西テレビ (KTV) 制作の番組を放送する事も多い。
  • KBS京都にはKTVやフジテレビの資本も入っている。社名が「近畿放送」だった時代、テレビ開局前に他ラジオ局と共にKTVの設立に関わっており、そのゆかりは古い。また、フジテレビは同局がイトマン事件の影響で会社更生法適用に追い込まれた後、その支援も兼ねて主要株主に加わっている。
  • 2006年には春の高校バレーの決勝戦を関西テレビが制作し、生中継した地域があった。また、深夜に関西テレビで録画放送していた。

ジャパンコンソーシアム[編集]

ジャパンコンソーシアム系の番組(FIFAサッカーワールドカップオリンピック中継)も独立U局で放送されるが、どの系列局制作を放送するのかについては特に定まっていない。

その他[編集]

関東地域では、1974年に日本テレビとTBSテレビで17:50~18時に放送された全国紙3社ニュース朝日新聞毎日新聞読売新聞)が廃止(その後NTVは読売、TBSは毎日提供の全国ニュースを放送)されて2年後の1976年からその代わりとなる5社ニュースを同時刻にスタートさせ、上述3社+産経新聞東京新聞が毎日日替わりで制作し、在京キー局製作の裏送り(朝日は日本教育テレビ→テレビ朝日朝日ニュースター、毎日はTBS、産経と東京はフジテレビから。読売はNTVで放送されたものと同じものを時差再放送)で配信していた(その後変更されているが、詳細は当該項参照)。

独立UHF放送局発の全国ネット番組[編集]

独立UHF放送局は地域密着型の番組が多いが、番組販売の形で北海道から沖縄県まで全国に向けて放送されている番組もいくつか存在する。また下記以外に独立UHF放送局共同制作ドラマを放送する地域もある。

かつて、TOKYO MXはMXテレビと名乗っていた頃、「3大テノールinDOME」を、独立U局を含めた全国完全ネットで発信した経緯がある。

独立UHF放送局の一覧[編集]

エリア 略称 / ID 社名 開局日 備考 本社 記号
栃木県 GYT 3 とちぎテレビ 1999年4月1日 ニュース動画配信は毎日実施。 宇都宮市 ■△
群馬県 GTV 3 群馬テレビ 1971年4月16日 前橋市 ○×
埼玉県 TVS 3 テレビ埼玉 1979年4月1日 ニュース動画配信は平日のみ。ウォーターマークは原則として全番組で実施。 さいたま市 ■※○□△×
千葉県 CTC 3 千葉テレビ放送 1971年5月1日 ニュース動画配信は不定期(最近は平日は大体更新される)。ウォーターマークは原則として全番組で実施。 千葉市 ■※○□×
東京都 MX 9 東京メトロポリタンテレビジョン 1995年11月1日 ニュース動画配信は毎日実施。ウォーターマークは原則として全番組で実施。 千代田区 ■※○△×
神奈川県 tvk 3 テレビ神奈川 1972年4月1日 横浜市 ○□△
岐阜県 GBS 8 岐阜放送 1968年8月12日 緊急地震速報はテレビ・ラジオ共に運用。ウォーターマークは原則として全番組で実施。 岐阜市 ●※○◇△
三重県 MTV 7 三重テレビ放送 1969年12月1日 津市 ○□◇△
滋賀県 BBC 3 びわ湖放送 1972年4月1日 大津市 ※○◇×
京都府 KBS 5 京都放送 1969年4月1日 緊急地震速報はラジオのみ運用。ウォーターマークは一部番組を除いて全番組で実施。 京都市 ●※○□△
兵庫県 SUN 3 サンテレビジョン 1969年5月1日 ウォーターマークは原則として全番組に実施。 神戸市 ※□△
奈良県 TVN 9 奈良テレビ放送 1973年4月1日 ワンセグ放送は未実施。 奈良市 ○◇
和歌山県 WTV 5 テレビ和歌山 1974年4月1日 ウォーターマークは原則として全番組に実施。 和歌山市 ※○◇

脚注[編集]

  1. 「独立系地方局にとってワンセグは大きなチャンス」テレビ埼玉 - ITpro(日経BP社、2006年3月29日付、2009年6月4日閲覧)
  2. 広域放送地域外(県域放送局のみが存在する地域)での「独立局」の開局は法的には不可能ではないが、そういった政策は採られておらず、電波割当も今のところはない。
  3. 岐阜放送など
  4. 当初の予定通り開局すれば水戸親局34chで放送する事になっていた。
  5. 2008年4月現在、民放の県域放送局開局に関しての具体的な動きはない。なお、NHK水戸総合テレビでは関東広域圏で唯一地上デジタル波限定だが県域放送が実施されている。
  6. 但し、大阪府についてテレビ大阪が広域化(大阪・京都・兵庫の3府県)を目指しており、県域放送の放送免許が返上される確率が高くなった。
  7. 多数の独立UHF局で放送される予定のアニメ作品を「全国U局で放送予定」とする表現が見られる(呼び名については一貫性がなく、放送局・番組・作品・俳優・キャスト関連の媒体で使用されている)『月刊ニュータイプ』2007年3月号、角川書店、34-35頁など。
  8. 週刊ダイヤモンド 2007年6月2日号、tvkについては2009年改編に伴う最新の数字。また2008年度よりTOKYO MXは本格的マルチ編成開始に伴い現状自社制作率は大幅にアップしている。
  9. 『独立U局に学べ!』(雑誌「GALAC」1999年3月号特集記事) - 特定非営利活動法人 放送批評懇談会
  10. このほか、テレビ東京系列各局が独自番組を放送する場合(テレビ大阪における天神祭の中継など)、テレビ東京発の全国ネット番組を岐阜放送・びわ湖放送・奈良テレビ・テレビ和歌山に裏送りし、各局で放送する事もある。
  11. tvkの「saku saku」「新車ファイル クルマのツボ」など。
  12. ちなみに、中京広域圏はテレビ朝日系列のメ~テレのみで放送される。
  13. 放送局の受信エリア外を除く

関連項目[編集]

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