この世の果てで恋を唄う少女YU-NO

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この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』(このよのはてでこいをうたうしょうじょ ゆーの)は、菅野ひろゆき(当時のペンネーム剣乃ゆきひろ)がエルフにて開発したSFアドベンチャーゲームである。

無数に存在すると言われる並列世界を渡り歩き、主人公の父母が残した謎を解くことがゲームの目的である。並列世界は古くから存在する概念であり、SFの題材としてはなんら珍しくないが、物理数学哲学歴史宗教の知識を元に作られた独特の世界観は高い評価を得た。特に名高いのがA.D.M.S(アダムス)と呼ばれるシステムであり、YU-NOはこのため今もアドベンチャーゲームの到達点、金字塔と評される。近親相姦カニバリズムの描写にも挑戦している。PC98版(18禁)、セガサターン版(推奨年齢18歳以上)、Windows版(18禁)がある。OVA化、漫画化、小説化もなされた。詳細は以下の各項を参照。

タイトルの由来[編集]

「この世の果て」とは、本作の主人公が物語の最期に行き着く世界のことである。また、「YU-NO」は物語の鍵を握る少女の名である。

タイトルは、ハーラン・エリスンSF小説『世界の中心で愛を叫んだけもの』(1969年)に由来すると思われる。PC98版YU-NOの制作期間は八ヶ月だったというから、1996年4月頃に開発が始まったはずであり、アニメ新世紀エヴァンゲリオン』の最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」(1996年3月27日)が放送された時期と重なるが、菅野ひろゆきがSFに造詣が深い事を考えると前者に影響されたと考えるのが自然であり、自身の長年の構想を実現させる作品に放映されたばかりのアニメから流用するとも考えにくくエヴァとの一致は単なる偶然であると思われる。

「この世の果てで恋を唄う少女」がメインタイトル、「YU-NO」がサブタイトルとなっている(PC98版のパッケージに同梱の「SPディスクのお知らせ」に明記されている)。簡便のため「YU-NO」と略される。英題は「YU-NO : A girl who chants love at the bound of this world.」である。

各版の概要[編集]

PC98シリーズ版(NXシリーズは除く)[編集]

1996年12月26日、アダルトゲームとして発売される。エルフが開発したMS-DOS用ソフトとしては最後のもの。価格は9,800円。

ユーザーの環境の違いを考慮して、フロッピーディスク版とCD-ROM版が用意された。CD-ROM版には、本編で使われているBGMアレンジ曲が収録された。ゲーム内容に差異はない。

セガサターン(SS)版[編集]

1997年12月4日発売に発売される。推奨年齢18歳以上。価格は通常版が7,800円、マウス同梱版が9,800円。パッケージ裏、CDトレイ下のイラストが数種類ありどのイラストか開封するまでわからない

PC98版との差異は、ハードウェアの性能により主に演出面に現れている。また、PC98版を通信販売で購入した時に配布されるスペシャルディスク(追加内容を収録したフロッピーディスク)のおまけシナリオが、本編に統合された。テキストにも若干の変更が加えられている。Windows版と同様、近親相姦を思わせるシーンが削除されている。

他の変更点は、以下の通り。

  • グラフィック……16色CGを全て原画段階から描き直している。
  • アニメーション……PC98版では性能と容量の関係上、存在しなかったアニメーションだが、SS版においてはオープニングと作中で何度か使用されている。(関連:シネパック
  • 音源……セガサターン標準搭載のPCM音源を使用し、PC98版のFM音源とは異なる音色になった。
  • キャラクターボイス……主要キャラクター全員(主人公を含む)に音声が付加された。
  • ゲームシステム……作中において重要なアイテム「宝玉」が、ふたつ追加された。
  • 性描写……推奨年齢18歳以上枠への移植に伴い表現がソフトになっている。

Windows版[編集]

エルフ大人の缶詰2000年12月22日発売)に同梱のelf classicに収録される形で、PC98版がWindowsに移植される。画像と音楽がPC98版と同等になっているが、移植時の倫理規定にあわせ最低限の修正がなされた。PC98版に存在した近親相姦を思わせるシーンが、メーカーの自主規制により削除され、主人公とYU-NOの関係をあらわす単語、YU-NOの年齢が読み取れる数字が伏せられている。elf classicは後に単品での発売があった。

システム[編集]

PC98版とセガサターン(SS)版ではゲームのシステムがわずかながら異なる。以下の説明は特に断りがない限り、前者のものである。

基本[編集]

  • PC98版
キーボードもしくはマウスを使って操作する。
キーボードマウス操作
Enter or Space左クリック決定
Esc右クリックキャンセル
Ctrl-テキストを早送りする
十字キー移動カーソルの移動
  • SS版
コントロールパッドもしくはシャトルマウスを使って操作する。
コントロールパッドシャトルマウス操作
Aボタン-アイテムウィンドウを開く
BボタンBボタンキャンセル
CボタンAボタン決定
XボタンCボタン分岐マップを開く
Yボタン-使用せず
Zボタン-カーソルを宝玉に移動させる
Lボタン-過去に表示したテキストを再び表示させる
Rボタン-テキストを早送りする
スタートボタンスタートボタン音量の設定を行う
方向ボタン移動カーソルの移動

トップメニュー[編集]

ゲームを起動すると、オープニングデモが始まる。最後まで見る必要はないが、本編のヒントが隠されている。柱時計に映る影は広大と神奈のものである。

デモが終わるとトップメニューが表示される。主な項目は以下のとおり。

  • 最初から始める
主人公の名前を入力し、ゲームを開始する。
  • 前回の続きから
既存のセーブデータをロードする。セーブデータには「主人公の名前」「達成率」「プレイ時間」が記録されている。達成率は、A.D.M.Sの分岐マップがどれだけ完成に近づいているかを示す数字である。100%で完成となる。データを選択すると、再開の方法を次の三つから選ぶことになる。
  • 前回の続きから
セーブを行った地点からゲームを再開する。
  • マップとアイテムそのまま
現代編のスタート地点からゲームを再開。セーブを行った時点の分岐マップ、宝玉セーブ、入手アイテムを引き継ぐ。
  • 最強装備で始める
宝玉とアイテムをすべて持った状態で、現代編のスタート地点からゲームを始める。分岐マップも引き継がれる。異世界編をクリアすることで選べるようになる。
  • 設定
文章が表示される速度や音源の設定を行う。トップメニューの背景に表示される壁紙を選ぶことも可能。
  • 名前の変更
主人公の名前を変更する。
  • 分岐マップ
選択したセーブデータの分岐マップを表示する。
  • 音楽モード
本編で使用されている音楽を視聴することが可能。音楽室を発見することで追加される。
  • SPモード
スペシャルディスクをインストールすることで追加される。内容は以下のとおり。
  • CGモード
現代編と異世界編のイベントCG、背景CGを閲覧することが可能。
  • CG道場
ファンがエルフに投稿した、「同級生」や「下級生」を題材とするCG作品の紹介。セガサターン版「下級生」の宣伝もある。
  • えりりんの個人授業
絵里子が出す問題(お絵かきロジック)を解く。全三問。浮かび上がる絵は、一問目が金色のカギ(本編に登場)、二問目がelfの文字、三問目がセガサターンのコントロールパットである。問題を解くたびに絵里子が服を脱いでゆく(一問目は白衣、二問目は上着)。そして三問目を解くとエリリン・ヒップアタックを披露する。
  • 神奈のヒントコーナー
現代編において最大の難関とされる石棺ロジックの解法を神奈が解説する。
  • それゆけ、セーレス!
アイリアが死んでから主人公とセーレスが結ばれるまでの過程を描いたコマンド選択式AVG。異世界編に収録されるべき内容だが、容量の都合でカットされたと見られる。本編ではまったくしゃべらないセーレスが、物語の最後に主人公と掛けあいを始める。セガサターン版では異世界編に統合されている。


プロローグ[編集]

一般的なAVGと同様、「見る」「話す」などのコマンドを選んでゲームを進める。シナリオの分岐はないのでどのコマンドを選んでもかまわない。セーブは場所を移動する時のみ可能。主人公がRデバイスを入手すると本編(現代編)に移行する。

現代編[編集]

RデバイスとA.D.M.Sを使って並列世界を渡り歩く。

背景や人物が表示される領域(上図のA)にマウスカーソルを移すと、カーソルがアイコンに変化する。アイコンの形状は、場所によって異なる。例を挙げるなら、階段に移した時は「靴」のアイコン、人物に移した時は「顔」のアイコンになる。左ボタンをクリックすると、主人公がアイコンの形状に応じた行動をとる。アイコンの種類と主人公の行動の関係は以下のとおり。

アイコンの形状主人公の行動
虫眼鏡見る、調べる
話す
叩く、殴る、押す、開ける、取る、揉む
キス
噛む
移動
疑問符探索

入手したアイテムは画面の右端(F)に格納される。カーソルをアイテムの上に乗せ、クリックすると、アイテムを持ったことになるので、使いたい場所に移し、再びクリックする。例えば南京錠が掛けられた扉を開けたい時は、Fに表示されているを南京錠に移動させ、クリックすればよい。アイテムの一覧は別項を参照。

入手した宝玉は画面の右下(E)に位置するRデバイスにはめ込まれる。宝玉をクリックすると宝玉セーブが行われる。分岐マップを開きたい時は、Rデバイスの下部に表示されているマッピング・スイッチをクリックする。詳細はA.D.M.Sを参照。

シナリオの分岐ポイントは41箇所。「主人公がどこに移動したか」「特定のアイテムを使ったか」「どの選択肢を選んだか」「過去になにをしたか」により分岐する。エンディングは13種類あるが、すべて見る必要はない。

ゲームを中断(セーブ)する時は、画面の左下(D)に配置された鏡(恵子の遺品)をクリックする。

宝玉を八つそろえると、ゲームは異世界編に移行する。

アイテム一覧[編集]

  • 親父の手紙
  • 神奈の生徒手帳
  • 木刀
  • 20ページ目の書類
  • 金色のカギ
  • 銀のメダル
  • ロープ
  • 澪のメモ帳
  • 磁気カード
  • 機密書類
  • 豊富の密会写真
  • ブルーカード
  • 円盤
  • 鉄の剣
  • ハンディコンピュータ
  • 白いメダル
  • 黒いメダル
  • 超念石
  • 書斎のカギ

A.D.M.S[編集]

YU-NOが一般的なAVGと一線を画すのは、A.D.M.S(アダムス)と呼ばれるシステムを採用しているためである。これは「Auto Diverge Mapping System」の略であり、「オート分岐マッピング・システム」と訳される。


シナリオの分岐が近づくとRデバイスの「マッピング・スイッチ」が点滅し、分岐点の接近を知らせてくれる。主人公がたどった道筋は、並列世界を視覚化した「分岐マップ」に記録されてゆく。新たな道筋を発見すると効果音が鳴る。また、Rデバイスの動力源である「宝玉」を八つ集めることが現代編の目的となっているが、「宝玉」の位置は初めから「分岐マップ」に記されている。A.D.M.Sは、並列世界の探索を助けるためのシステムなのである。「分岐マップ」は「マッピング・スイッチ」をクリックすることで開かれる。横方向が時間軸となっている(左から右に進む)。

特筆すべきは「宝玉セーブ」である。画面の右下に表示されている「宝玉」をクリックすると、画面から「宝玉」がひとつ消え、代わって「分岐マップ」の現在地に印が刻まれる。これは「宝玉」が印の地点に静止していることを意味する(飛び移り座屈の項を参照)。印の地点に戻りたい時は、「分岐マップ」を開き、印をクリックすればよい。「宝玉」が静止した地点に戻ると、「宝玉」は自動的に回収される(印が消える)。シナリオの分岐点で「宝玉セーブ」を行えば、効率的なプレイが可能になる。これだけだと、「宝玉セーブ」は一般的なAVGのセーブおよびロードと大差ないが、ある世界で入手したアイテムを他の世界に持ち越せるところに本作の特徴がある。

例えば、最初に亜由美シナリオをプレイした時は、必ずバッドエンド(亜由美の自殺)を迎える。なぜなら、亜由美の自殺を阻止するためのアイテム(豊富と暴力団の繋がりを示唆する写真)を主人公が持っていないからである。この写真は、バッドエンドへの分岐が決まった直後に香織から入手することになるが、亜由美のもとに主人公が戻った時はすでに手遅れなのである。バッドエンドに分岐するかどうかは、豊富と亜由美の性行為を主人公が目撃した時、写真を豊富に突きつけたか否かで決まる。つまり、亜由美を助けるには、この場面でまず「宝玉セーブ」を行う。そしてバッドエンドに分岐し、写真を手に入れたら、「分岐マップ」を開き「宝玉セーブ」をした地点に戻ればよい。一度バッドエンドを迎えた後だけに、亜由美を救った時の感動はひとしおである(ただし亜由美を救えなかった平行世界も厳然と存在するという事実を忘れてはならない)。A.D.M.Sは、こうしたギミックを作中に挿入するためのシステムでもある。

さて、エンディングを迎えると、主人公は「カオスの矯正」により「分岐マップ」のスタート地点に戻される。「分岐マップ」にはエンディングを迎えたことを示す印が刻まれる。入手したアイテムを失うことはもちろんない。シナリオを一から再開してもかまわないし、「宝玉セーブ」をした地点に移動してもかまわない。


「宝玉」をすべて回収すると、別の世界への道が開かれ、ゲームは新たな局面を迎えることになる。

A.D.M.Sにも欠点はある。「宝玉セーブ」の使い方を誤ると、クリアに要する時間が大幅に伸びてしまうのである。先述のとおり、主人公はエンディングを迎えると必ずスタート地点に戻される。従って、「宝玉セーブ」を一度も行っていないと、同じ道をまた辿ることになる。非常に効率の悪い作業である。また、「宝玉」は八つしか存在しない。これは、「宝玉セーブ」の回数が制限されることを意味している。「宝玉セーブ」を行う場所が偏ると、やはりプレイの効率が落ちてしまう。クリアに必要な時間は四十時間から六十時間と言われるが、これだけ幅があるのは、ひとえに上記の事情による。

異世界編[編集]

プロローグと同様、「見る」「話す」などのコマンドを選んでゲームを進める。シナリオの分岐はないのでどのコマンドを選んでもかまわない。異世界編をクリアすると、晴れて真のエンディングを迎えることになる。

登場人物の一覧[編集]

キャストが存在するのはセガサターン(以下SS)版のみ。尚、一部キャラクターについてはOVA版の設定、キャストについても記載してある。

現代編[編集]

主なキャラクターの名字戦国大名の名から採られている(有馬氏波多野氏島津氏武田氏龍造寺氏結城氏豊臣氏朝倉氏後北条氏今川氏)。

  • 有馬 たくや(ありま たくや)
性別:男 檜山修之(SS版)、千葉進歩(OVA)
本編の主人公。境町学園の三年生。幼い頃、実母の恵子を病気で亡くす(実際は自殺)。母の愛を十分に享受することが叶わなかった為、特に意識はしていないが、心の奥底で母との触れあいを求めており、時々、恵子の夢を見る。父である広大も、二ヶ月前、落石に巻き込まれ他界。
一見冷淡な性格をしており、広大の訃報にも特別な感情を抱かないようなことを語っているが、実際は憎まれ口を叩きながらも父のことを深く愛しており、広大の訃報を機に生活は乱れ部活動をやめ、父を侮辱する教師を殴ってもいる。一人自室で広大の死を嘆き悲しむ亜由美の姿を目撃しており、関係に変化が生じている。
荒れた心を慰めるため、一時期、美月と交際するが、彼女との性行為を澪に目撃されてしまい、澪との仲が険悪なものになる。
現在は素行が回復している。
  • OVA版の設定
実の両親が不在であり、義母の亜由美と二人暮らしと言う家族構成自体は、原作と同一。但し、父・広大と母・恵子の存在感が極めて希薄となっている点が、たくやの人格面に大きな変更を及ぼしている。偉大な父に畏敬心と反発心の両方を抱き、見知らぬ母に愛慕を寄せると言った、原作におけるエディプスコンプレックスの情動が、OVA版では欠落。両親の事を頭に浮かべる場面すら滅多に無い。父に導かれるでもなく、父を追い求めるでもなく、周囲の異変に巻き込まれるばかりで、前半においては積極的な行動理念が備わらない。リフレクターデバイスの代わりに、物語冒頭でユーノから受け取った謎の指輪(最後まで詳細不明)を用いて、複数の並列世界を渡り歩く。
  • 有馬 広大(ありま こうだい)
性別:男 声:立木文彦
たくやの父。歴史学博士号を持つ。日本においては、400年ごとに大規模な改革が起こるとの説を発表する。平安京への遷都(西暦794年)、鎌倉幕府の成立(西暦1192年)、江戸幕府の成立(西暦1603年)がこれにあたる。また、西暦400年ごろには、「高ノ天原(たかのあまはら)」と呼ばれる民族が日本を侵略し、日本を統一したと考えた。
学会の有力者である師の説を批判したことから、行き場を失うが、400年周期の仮説が龍蔵寺の関心を買い、境町学園に研究の場を与えられる。
400年周期の仮説および「高ノ天原」の秘密を解く鍵は、境町に隠されているはずだった。剣ノ岬と呼ばれる奇岩に着目し、一定の成果を得る。他方、物理学を専門とする今川由利香も剣ノ岬に興味を持っており、ふたりは共同で調査にあたる。
今川の資料には、ある女性についての記述があった。彼女は高ノ天原の末裔で、名をケイティアという。戸籍を持たなかったが、広大との結婚を機に、戸籍を得る。たくやを生んだのち、新たな自分になるために旅立つと言い残し、ケイティアは自殺。
ケイティアが自身の生い立ちや故郷のことを広大に語ったのは出産の時であり、彼女の証言は400年周期の仮説を裏付けるものだった。時は可逆、歴史は不可逆であることを知った広大は、歴史の本質を探るため、また、最愛の妻ケイティアとの再会を果たすため、事故死を装い、「事象の狭間」に赴く。
  • OVA版の設定
回想シーンを含め、出番無し。影や幻はおろか、声も一切聞き取れない。
  • 有馬 恵子(ありま けいこ)
性別:女 声:星野千寿子
たくやの実母。本名はケイティア。広大と結婚する際、恵子という名で戸籍を作る。「デラ=グラント」の巫女
400年前、「デラ=グランティア」とシンクロし、地球と「デラ=グラント」の衝突を回避したのち、境町に移住する。視力と引き換えに聖なるちからを得ており、眼が不自由。境町の地下に眠る「超念石」のエネルギーを糧に生きるため、生涯、町の外に出ることがなかった。
彼女の体内には「デラ=グランティア」がいまだ存在していた。境町に移住してから400年、この世界と「デラ=グラント」の接近が再び迫っていることから、広大の眼前で自害し、「デラ=グランティア」を解放する。現在は「事象の狭間」において、広大と共に暮らしている。
  • OVA版の設定
夫と同じく出番無し。
  • 有馬 亜由美(ありま あゆみ)
性別:女 誕生日:1月9日 声:井上喜久子(SS版)、内川藍維(OVA)
たくやの義母。半年前、大学生時代の恩師である広大と結婚。ジオ・テクニクス社が境町の海岸にて進める工事の責任者。社屋を拡張するため、地質の調査を行う必要があるのだという。
工事が始まって以来、海岸では謎の落雷が相次ぎ、ジオ・テクニクスの責任を追及する声が上がる。犠牲者もすでに出ており、工事の責任者として批判の矢面に立たされる。本心では調査の続行に反対だが、会社の方針に従い、問題はないと主張する。
ジオ・テクニクスが工事を強行するのは、海岸の地下に眠る「超念石」を発掘するためである。「超念石」は人間の精神に感応する性質を持ち、工学への応用が期待される。しかし、もしくは空気に触れると組成が変わってしまう。これを結晶化したものが「宝玉」であり、広大は、亜由美に「超念石」の結晶化を依頼する。新たな世界に旅立ったケイティアを追いかけるには、「宝玉」のちからが必要なのである。亜由美にとっては酷な事実だが、広大が真に愛しているのは、今もケイティアだった。
  • OVA版の設定
やはり広大の存在感が薄いが為に、亜由美の行動の動機もまた不明瞭に。神帝即位後は神奈を殺害してまでデラ=グラントの崩壊を食い止めようと奔走する。彼女の死の場面は描かれない。
  • 波多乃 神奈(はたの かんな)
性別:女 誕生日:3月3日 声:今井由香(SS版)、高塚彩葉(OVA)
境町学園の三年生。これまで少なくとも十回は転校を経験している。転校先は決まって境町の周囲に位置する学校である。境町学園に編入して一ヶ月になるが、いまだクラスに馴染もうとしない。
海岸の地下に眠る「超念石」を持ち去ろうとする者には罰が下されると母に聞かされており、工事を中止するよう、ジオ・テクニクスに申し入れる。
神奈と神奈の母親は特別な体質を持っていた。幼い頃は成長が非常に速いが、成熟すると身体に変化が生じなくなる。寿命も数百年ほどある。ゆえに周囲との交流は長続きせず、定住は夢のまた夢だった。
ふたりは五十年ほど前から生活を共にしていた。母はやがて他界。孤児となった神奈は、生活費を稼ぐため、心のさみしさを埋めるため、売春に走る。自分の境遇に絶望し、一時は自殺も考えるが、恵子と同じ体質を持っていることを理由に、広大と恵子が神奈の保護を申し出る。夫妻は神奈に惜しみない愛情を与えた。
「超念石」のエネルギーを糧に生きるため、特殊な方法で結晶化した「超念石」が付属するネックレスを身につけていないと、命を失うことになる。
広大は「事象の狭間」に旅立つ際、「宝玉を八つそろえた時、新たな道が開かれる」というメッセージと書斎の鍵を神奈に託し、たくやに伝える(渡す)よう指示する。
以下に述べる事実から、神奈の母はアマンダであると考えられる。
神奈の母アマンダ
左腕にリングをはめている
境町の地下に「超念石」が眠っていること、「超念石」を持ち去ろうとする者には罰が下されることを知っていた「超念石」の採掘場に収容されていた
「デラ=グラント」の巫女であるケイティアと同じ体質を持っていた「デラ=グラント」出身
真のハッピーエンドにおいて、神奈の母を知っているかもしれないと、たくやが語る現代編においてマップの達成率を100%にするとアマンダが現れ、「デラ=グラント」以外でも会ってると語る
神奈と神奈の母親の写真が撮られたのは五十年ほど前ユーノと「デラ=グランティア」がシンクロする儀式の際、龍蔵寺の手により五十年前の地球に飛ばされる
最後の最後まで諦めるなと神奈に語る最後の最後まで諦めないとたくやに語る
また、アマンダとたくやが性的な関係を持ったこと、「神奈の身体に流れる血がたくやを引き寄せる」とセガサターン版の取扱説明書に書かれていることから、父親はたくやであると推測される。事実、脚本を担当した菅野ひろゆきは、たくやと神奈が親子である可能性を否定しない。
よく「波多野」と書かれるが、正しくは「波多乃」である。また、開発の初期には「かえで」と呼ばれていた。
  • OVA版の設定
最大の変更点は、デラ=グラントにて再登場する由(美月、澪、豊富も同様)。ユーノと同じくたくやの息子たる旨が、数度に渡ってほのめかされる。但し母親はアマンダではなく澪。亜由美に刺された後、澪の腕の中にて息を引き取る。父・たくやとの近親相姦の場面はカット。代わりに母・澪と情事に耽る。女子学生オンリーのデートクラブと思しき場所でアルバイトしており、上半身制服・下半身ブルマというコスチュームを披露。境町ではユーノとの意識のシンクロが幾度か発生。
  • 一条 美月(いちじょう みつき)
性別:女 誕生日:11月22日 声:佐久間レイ(SS版)、奥田利香(OVA)
大学生時代の恩師である龍蔵寺の秘書を勤める。境町学園で歴史の授業を担当したこともある。龍蔵寺を愛しているが、彼は妻帯者であり、実らぬ恋だった。心の隙間を埋めるため、一時、たくやと交際する。
龍蔵寺の態度が急に変わってしまったことに不安を覚え、調査に乗り出す。龍蔵寺は以前、『彼女』と呼ばれる存在におびえていた。「事象のシュバルツシルト半径」に捕らわれているため、どのルートに向かっても悲劇的な結末を迎えることになる。
開発の初期には、美月を「神帝」とする構想があったと見られる。
  • OVA版の設定
デラ=グラントにて再登場。とある並列世界では拳銃を差し出したりと、狂暴な一面を垣間見せるが、理由は不詳。デラ=グラントでたくやと再会後、セーレスの身を彼に託し、「運命」により唐突に死去。龍蔵寺が全く登場しないせいで、美月の描写は全体的に減じられている。アイリアの役柄を兼務。
  • 島津 澪(しまづ みお)
性別:女 誕生日:5月8日 声:冬馬由美(SS版)、高天唯(OVA)
境町学園の三年生。名家に生まれるが、令嬢と呼ばれることを嫌う。古代史の愛好家。父親は境町の市長を勤める。たくやに好意を寄せており、告白もしたが、美月との性行為を目撃したことをきっかけに、距離を取るようになる。
広大、龍蔵寺、今川の共著である「LEGACY」を読み、400年周期の仮説を知る。澪は、剣ノ岬に高ノ天原の秘密が隠されていると考え、調査にあたる。他方、世間においては、父とジオ・テクニクスの汚職が噂されており、中傷を受ける。傷ついた彼女は、退学とアメリカへの留学を真剣に考える。
セガサターン版の取扱説明書および『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO 完全ガイド』(辰巳出版)においては「島津」の読みを「しまず」としているが、一方でゲーム本編においては「しまづ」と紹介されている。後者が正しいと思われる。
  • OVA版の設定
デラ=グラントにて再登場。設定の変更は特に無いものの、原作に比べて出番が多い。場合によっては美月の如く人格が一変し、拳銃を所持。後に正気に戻った様子からして、何らかの存在(思念体の変化形?)に意識を乗っ取られていたと推測可能なれど、詳細不明。たくやとセーレスの結婚に嫉妬し、彼を誘惑する形で、初めて彼と結ばれる。その際に神奈を身ごもる。巫女の儀式の場にて「今現在の」神奈の死に直面し、更に不本意な次元跳躍を強いられ、数十年前(推定)の境町へ移動。そして神奈を出産。以上の点から察しが付く通り、アマンダの役柄を兼務。
  • 武田 絵里子(たけだ えりこ)
性別:女 誕生日:7月7日 声:久川綾(SS版)、園崎未恵(OVA)
境町学園の校医。二ヶ月前に赴任。以前はヨーロッパで暮らしていた。ボディコンミニスカートの上に白衣を羽織り、生徒の前で堂々と煙草をふかす。学園の問題児であるたくやの担任も勤める。
武家屋敷の周囲で起こっているとされるタタリおよび龍蔵寺に強い関心を示している。派手な格好で町に繰り出しては龍蔵寺の身辺を秘密裏に探る。絵里子の寝言に現れる「アーベル」と呼ばれる男の死が、彼女を突き動かしているらしい。
詳しくは異世界編の「エィッリィククワッドゥロッウ」を参照。
  • OVA版の設定
龍蔵寺の不在は、絵里子の目的の不明瞭さへ直結。設定や言動に大きな違いは無いが、次元監査官と言う正体は最後まで明かされない。たくやが種々の並列世界を飛び越え得る存在だと言う事を、なぜか予め承知している。
  • 朝倉 香織(あさくら かおり)
性別:女 誕生日:12月23日 声:根谷美智子(SS版)、安達まり(OVA)
報道番組「ニュース・プレゼンス」のキャスター。境町の海岸で相次ぐ謎の落雷は、ジオ・テクニクスの工事に起因すると考え、責任者である亜由美を徹底的に糾弾する。
裏の顔は産業スパイ。「超念石」の保存生成式および結晶化された「超念石」をジオ・テクニクスから盗み出し、保存生成式を某社に、結晶化された「超念石」を龍蔵寺に売ることを画策している。「超念石」には不思議な性質があること、亜由美が広大の遺志を継いで「超念石」の研究にあたっていることを知っている。
生前の広大と親交があり、一度だけ性的な関係を持った。
  • OVA版の設定
ニュースキャスターではなく学生に変更。具体的な年齢は他キャラ同様に伏せられているが、おそらくは原作よりも何歳か若返っていると思われる。素性に大幅な差異が生じている珍しいキャラクター。澪から制服を借り、境町学園の生徒になりすまし、たくやと接触。実際には他校の生徒であり、本来の制服はデザインが異なる。デートクラブらしき施設に勤め、神奈とはバイト仲間。産業スパイなる裏の顔は原作に依拠。明言こそしないものの、「(何らかの秘密活動の)プロ」を自称。数名の女子学生を子分として引き連れ、暗躍する。変更点が多い割に性描写は見られず、デラ=グラントでは彼女のみ再登場せず。
  • 結城 正勝(ゆうき まさかつ)
性別:男 声:岩永哲哉
境町学園の二年生。不良にからまれている所をたくやに助けられて以来、たくやを強く慕っている。澪に好意を寄せており、アプローチを試みるがうまくいかない。
海岸において澪とたくやの会話をたまたま盗み聞きし、澪の父が汚職に絡んでいることを知ると、翌日、汚職を告発するビラを学校の掲示板に張る。澪はたくやを犯人と決め付け、失望する。恋敵を貶め、澪を我が物とすることが結城の目的だった。しかし、告発に深く傷ついた澪はアメリカへの留学を決意する。驚いた結城は自分の行為を大いに悔いるのであった。
  • 豊富 秀夫(とよとみ ひでお)
性別:男 声:三木眞一郎
ジオ・テクニクスの社員。亜由美の部下。地質調査の現場監督を務める。
某社に自分を高く売り込むため、香織と結託して「超念石」の保存生成式を盗み出そうとする。しかし、保存生成式は豊富の手が届かない所に隠されており、簡単には持ち出せない。亜由美に対して優しく接するのは、保存生成式が書かれた書類を彼女から入手するためだった。
  • OVA版の設定
デラ=グラントにて再登場(元よりデラ=グラントの生まれ)。香織と並んで素性変更が著しい。たくやの実母・恵子(ケイティア)の養子、尚且つ、たくやの妻・セーレスの義兄。ケイティアの実子であり、ケイティアの愛を一身に浴び、ケイティアを死に至らしめたたくやを憎悪。神帝傘下の兵士に命じ、デラ=グラントのたくやの住まいを襲撃。ユーノを強姦させ、セーレスを自殺へ追いやる。神帝の宮殿にてたくや殺害を謀り、逆襲されて死亡。原作における何らかの人物の役柄を兼任している訳ではなく、デラ=グラントでの再登場後はOVA版オリジナルキャラと呼んで差し支えない程の変身振り。
  • 龍蔵寺 幸三(りゅうぞうじ こうぞう)
性別:男 声:大塚明夫
境町学園の学長。歴史学を専門とする。妻とは別居中。
400年周期の仮説に感銘を受け、広大を境町学園に招く。広大、今川と共同で研究にあたり、「LEGACY」を記す。一時は広大や今川に遅れを取るが、ある女性の学説に触れたことをきっかけに、研究のレベルを飛躍的に向上させる。龍蔵寺はやがて彼女に恐怖を覚えることになる。
二ヶ月前、武家屋敷に引っ越す。本物の龍蔵寺はこの時すでに監禁されていた。助けを求めて屋敷の周囲を夜な夜な徘徊するが、頭と手足を奪われているため、怪物と間違われてしまう。監禁したのは、龍蔵寺に学問上の示唆を与えた、上述の女性である。彼女は龍蔵寺に成りすますと、香織を雇い、結晶化された超念石をジオ・テクニクスから盗ませようとする。また、広大の行方も追っており、北条に広大の足取りを追跡させる。
詳しくは異世界編の「龍蔵寺」を参照。
  • 龍蔵寺 梅(りゅうぞうじ うめ)
性別:女 声:鈴木れい子
幸三の母。幸三の日記を読み、ある女性が彼に成りすましていることを知る。恐れをなした梅は、痴呆症を装い、真実を第三者に伝えようとする。
  • 今川 由利香(いまがわ ゆりか)
性別:女
物理学の博士号を持つ。境町の磁場重力場が異常な値を示していることに注目し、広大、龍蔵寺と共に剣ノ岬の研究にあたる。リフレクター・デバイスを広大から預かり、機能の解析に尽力する。
剣ノ岬の地下に八千年前の遺跡が眠っていることを突きとめ、探索を行うが、トラップにより命を落とす。
  • 真理奈(まりな)
性別:女 声:西村ちなみ
ジオ・テクニクスの守衛を務める。勤務中にも関わらずテレビドラマに見入り、警備をおろそかにすることがある。キャラクターデザインを担当したのは田島直
  • 北条 篤(ほうじょう あつし)
性別:男 声:青野武
興信所の調査員。龍蔵寺の意向を受け、広大の行方を探る。神奈が広大に保護されていたことを知ると、彼女に接近し、情報を引き出そうとする。対価を払うことで、神奈とは二回、性的な関係を持った。
  • 島津 市長
性別:男 声:柳沢栄治
澪の父。名士であり、境町の市長を勤める。ジオ・テクニクスとの汚職が噂される。ショットガンの収集を趣味としている。

異世界編[編集]

  • セーレス
性別:女 声:高橋美紀
異世界に飛ばされたたくやが最初に出会った人間。言葉が話せない(話さない)がたくやの話す言葉は理解できるらしく身振りでコミュニケーションをとっていく。アイリアの死後、成り行きとはいえたくやと一緒に暮らすことになり、徐々に愛を深めて行き、ユーノを出産することになる。儀式によってデラ=グランティアという神を体に降臨させるための巫女。帝都から来た兵士によって連行されそうになった際に舌を噛んで自害する。本名はケアレス。
  • OVA版の設定
原作との差異が最も小さいキャラクター。絵里子、美月、神奈の手引きで都を脱出。その後、美月と合流し、一定期間、彼女に保護された果てにたくやと出会う。
  • ユーノ
性別:女 声:こやまきみこ(SS版・OVA版とも)
本作の最重要人物。たくやとセーレスとの間に生まれた女の子。名前は"You Know?"からたくやが命名。物語序盤に登場するものの、正体発覚やたくやとの交流は物語後半にてようやく為される。たくやと共に帝都へ向かう道中、神殿を訪れ、そこで帝都の兵士に連れ去られてしまう。その後帝都へ来たたくやと再会するが、ユーノは巫女として祭り上げられた挙句に洗脳され、たくやのことさえ忘れていた。その後洗脳が解けるが、事象の衝突を回避するためにグランティアとシンクロする儀式に身を委ねる。儀式前夜には実父たくやとの性交に及ぶ。
  • OVA版の設定
最大の変更部分は、たくやと生き別れ、強制的に巫女に祭り上げられて以後。原作では途中で洗脳が解け、たくやとの再会を喜ぶが、OVA版は最後の最後まで記憶が戻らず、彼についても忘却したまま。ラストシーンにて、たくやの事を父ではなく一人の男として意識。されど神奈と同じく近親相姦のシーンは皆無。
  • アイリア
性別:女 声:勝生真沙子(エンディングのテロップでは「勝木-」と誤植されている)
「ボーダー」の警備をしている騎士。ボーダーより侵入した怪物からセーレスを守るために瀕死の重傷を負う。自分の死を悟った彼女はたくやにボーダーを警備する使命を託し、この世を去る。アマンダの姉。
  • クンクン
声:川上とも子
砂漠を越えてやってきたという、翼の生えた女性から託された子供。名前はクンクン鳴いているからという理由でユーノが命名。ユーノとはペットのような友達のような関係。トカゲに羽を生やしたような姿をしていたが、後に成長し母親と同じような姿になる。この世界ではノガルドと呼ばれる人間の食料となっている生物。たくやとユーノが帝都へ向かう際に森へ帰されるが、収容所でたくやと再会。その後たくやの前に成長した姿で現れ、たくやとアマンダを収容所から助け出す。2人を運ぶために力を使い果たし命を落とす際に、たくやのために自らの体を食糧として差し出す。
  • アマンダ
性別:女 声:三田ゆう子
神帝に反抗するレジスタンスのリーダーでアイリアの妹。帝都に捕まり収容所に入れられたところでたくやと出会う。龍蔵寺によって次元の狭間へ落とされる。
  • 神帝
亜由美のデラ=グラントでの姿。セーレスを殺された復讐のためにやってきたたくやと出会い、デラ=グラントが元はたくや達がいた世界から切り離された世界であること、神グランティアとはデラ=グラントを作り出した科学者で、巫女とは彼女の意識を投影するための媒体であることを伝える。事象の衝突を避けようとするが、それを阻止しようとする龍蔵寺によって殺される。
  • エィッリィククワッドゥロッウ
校医の武田絵里子のもう一つの姿。たくやがもといた世界ともデラ=グラントとも違う別の次元から来た次元監査官で、龍蔵寺に化けていた思念体を捕まえるためにデラ=グラントへ来たという。事象の衝突が起こり、二つの世界が消えてしまう可能性があることを伝える。
  • 龍蔵寺
龍蔵寺の姿を借りた思念体。絵里子の恋人アーベルを殺した張本人で、絵里子から逃れるために事象の衝突をさせようと企む。
  • サラ
性別:女 声:高田由美
たくや達が砂漠を越えて帝都へ向かう途中のオアシスで出会う。たくやへ帝都の情報を教えた後に別れる。
  • 収容所の所長
性別:男
たくやが連れて来られた"聖なる石"の採掘場の強制労働者を仕切っている人間。人を痛めつけて屈服させることを楽しむサディスト。

物語の流れ[編集]

執筆中

現代編[編集]

  • プロローグ
  • 亜由美ルート
  • 美月ルート
  • 澪ルート
  • 香織ルート
  • 神奈ルート

異世界編[編集]

  • セーレスとの出会い
  • ユーノ誕生
  • 帝都へ
  • 神帝
  • 事象の根源

物語のポイント[編集]

デラ=グラント[編集]

数十万年前の地球には、非常に優れた技術を有する民族(地球先住民族)が存在した。彼らは自然と調和し、豊かな生活を送っていた。しかし、地球先住民族の文明はある時、滅亡の危機に直面する。「神の涙」と呼ばれる巨大な隕石が、近い将来、地球に飛来することが判明したのである。

「神の涙」から逃れるため、地球先住民族は自らが暮らす大陸を次元移動装置に造り替え、別の次元に移動させた。いつの日か母なる地球に帰ることを夢見ながら。移住を指揮した科学者「グランティア」にちなみ、この大陸を「デラ=グラント」と呼ぶ。

「神の涙」による滅亡はとりあえず回避されたが、新たな危機が「デラ=グラント」の民を襲う。異次元の環境はあまりにも過酷であり、命を失う者が続出したのだ。彼らはこの環境になんとか適応するため、己の肉体に改造を加え、幼年期は短いが成年期は非常に長い生命体に生まれ変わった。また、半永久的に重核融合を行う太陽メルギオや、酸素の供給を行う植物も作り上げた。科学者の努力により、「デラ=グラント」の環境は徐々に改善されていった。

問題はもうひとつあった。「デラ=グラント」はある軌道に沿って地球(正確には地球が存在する次元)を周回するが、軌道の計算には誤差があり、「デラ=グラント」と地球は周期的に接近することが明らかになった。「グランティア」の予測によれば、衝突の危機は400年ごとに訪れるという。

衝突を回避する技術を持った科学者は、病や寿命のため、ひとり、またひとりと命を失ってゆく。あせりを覚えた「グランティア」は、自身の意識で大陸を制御するシステムを作り上げると、精神を肉体から解き放ち、「デラ=グラント」を守る不滅の女神「デラ=グランティア」となる。もっとも、「デラ=グランティア」が大陸を制御するには、意識を第三者の肉体に投影する必要があった。「グランティア」の指令を収めた統合コンピュータ「グランドマザー」は、400年ごとに投影の対象となる女を選び出す。選ばれた者はある儀式を行うことで女神と一体になるため、「巫女」と呼ばれる。

他方、地球は「神の涙」により大打撃を受けるが、長い年月を経て本来の姿を取り戻していく。「デラ=グラント」の民とは別種の生物である原人(もしくは旧人)も、ホモ・サピエンスに進化し、文明を築き始める。

「デラ=グラント」と地球が接近すると、両者に接点が生じるため、「デラ=グラント」から地球への移動が容易になる(逆もしかり)。接点となるのは日本の境町(さかいまち)である。「デラ=グラント」の民の一部は、母なる地球への帰還を望んだのか、400年ごとに境町へ渡り、日本の歴史に大きな影響を与えた。魏志倭人伝によると、古代の日本は倭国大乱と呼ばれる状態にあったが、「デラ=グラント」の民は武力により、西暦400年ごろ日本を統一、履中天皇となった。西暦794年には、桓武天皇の手により平安京への遷都が行われる。桓武天皇は渡来人を重用したという。渡来人とはもちろん、「デラ=グラント」の民である。彼らは鎌倉幕府(西暦1192年)や江戸幕府(西暦1603年)の成立にも関与した。「デラ=グラント」の巫女であるケイティアも、400年前、自らの身体に女神を取り込み、「デラ=グラント」と地球の衝突を回避すると、境町に移住した。

歴史の博士号を持つ有馬広大は、日本史の転換点となるこれらの事件が400年おきに起こったことに着目し、「400年周期の仮説」を唱える。境町に起源を持つ幻の民族「高ノ天原(たかのあまはら)」が400年ごとに姿を現し、歴史の舞台裏で大規模な改革を実行するとの説である。「デラ=グラント」の民が有する技術は非常に優れていたから、彼らが渡来するたびに変革が起こるのは当然のことだった。

ケイティアは境町で広大と結婚し、男児(本編の主人公)を設けるが、彼女の体内にはいまだ女神「デラ=グランティア」が存在した。西暦2000年ごろの衝突を回避するには、自らの命を絶ち、女神を解放する必要があった。これにより、次の巫女と女神のシンクロが可能になる。生まれたばかりの主人公と広大を残し、自害するケイティア。

彼女は出産の際、自分の生い立ちや「デラ=グラント」のことを広大にすべて話していた。「400年周期の仮説」の裏付けを得たのみならず、時は可逆、歴史は不可逆であることを知った広大は、歴史の真理を探究するため、「事象の狭間」に旅立ち、「ブリンダーの木」の観察者となる。

「グランドマザー」の計算によると、西暦2000年の接近は「デラ=グラント」に破滅をもたらすという。次元と次元の衝突は回避される見通しだが、接近の規模があまりにも大きいため、回避の際に生じる余剰エネルギーの逆流により、「デラ=グラント」は実体化し8000年前の境町に落ちることが予測されたのだ。「デラ=グラント」の因果律は乱流になっているため、「デラ=グラント」の誕生と墜落は何度でも繰り返される(層流と乱流を参照)。

「事象の狭間」から宇宙の過去、現在、未来を見渡す広大は、主人公の娘であるユーノが「デラ=グラント」の新たな巫女になることを知っていた。彼女の母は「デラ=グラント」で暮らす少女セーレス。従って、「デラ=グラント」と地球の衝突を回避するには、主人公を「デラ=グラント」に送り込み、セーレスと結婚させる必要があった。

ケイティアが境町に持ち込んだリフレクター・デバイス(以下Rデバイス)と呼ばれる装置は、次元や時間を超える能力を有していた。Rデバイスの動力源である「宝玉」を八つそろえると、「デラ=グラント」への道が開かれるが、うち六つはすでに紛失していた。「事象の狭間」を漂う広大は、Rデバイスを主人公に預けると、残りの宝玉をすべて集めるよう命じる。

主人公の冒険はこうして始まるのだった。

次元監査官[編集]

数十万年前の地球よりも高い次元に位置するある世界は、「事象科学」を発達させていた。アーベルと呼ばれる研究者は、事象の根源になにが存在するのかを調べるため、精神を事象の根源に向かって飛ばした。

「事象の狭間」には、何万年も前から生き続ける邪悪な思念体が漂っていた。思念体は、アーベルの精神が事象をさかのぼっていることを知ると、彼の足跡をたどり、肉体を奪った。帰るべき場所を失ったアーベルは事実上、死亡。思念体はアーベルとして生活を始めるが、アーベルと交際していた次元監査官だけはだませなかった。次元監査官とは、複数の次元をまたにかける犯罪者の取り締まりを任務とする者である。

思念体は現代の境町に逃れた。アーベルの仇を取るため、次元監査官も境町へ向かった。彼女は武田絵里子と名乗り校医を勤めるかたわら、思念体の行方を秘密裏に探った。絵里子の追跡をかわすため、再び別の次元に向かうことを考える思念体だが、次元移動装置はすでに故障していた。彼は広大の親友である龍蔵寺に成りすまし、主人公が広大から託されたRデバイスを奪おうとするのだった。

世界観[編集]

我々が体験する現象には必ず原因があるという考えを因果律と呼ぶ。この原理は早くから知られており、「現世における苦楽は前世によって決まる」とする因果応報の思想を生む。また、ドイツ哲学者アルトゥル・ショーペンハウアー」(1788-1860)によれば、我々が有する世界像は、外部の事象を時間空間、因果律の形に再構成することによって形成されるという。しかし、因果律は目に見えないため、長らく科学の対象とはならなかった。

「事象科学」においては、「事象素子」と呼ばれる粒子を仮定し、時間と空間に因果律を加えた世界像を構築する。本作の核となる時間旅行および並列世界に関する理論は、この「事象科学」を元に説明される。

飛び移り座屈[編集]

リフレクター・デバイス(以下Rデバイス)とよばれる装置には、「超念石」の結晶である「宝玉」がはめ込まれている。「宝玉」に触れると、「宝玉」は時間に対する慣性を失い、静止する(すなわち時間の流れから取り残される)。このため、Rデバイスの所有者と「宝玉」は離れ離れになるが、「事象素子」(虚数空間を走る光子。因果律の伝達を行う)の波がRデバイスによって放射されると、「宝玉」は励起され、反射波を生じる。波動力学に従い、合成波の振幅(=事象密度の大きさ。事象の起こりやすさを表す)が最大になる部分を腹、最小になる部分を節と呼ぶ。腹は、「現実において十分に起こりうる事象」であり、節は、「現実には起こりにくい事象」である。後者より前者の状態が自然であるため、節から腹への移動は容易に起こりうる。「事象素子」の波をうまく制御し、Rデバイスを節、「宝玉」を腹とすれば、Rデバイスの所有者は「宝玉」が静止している時間(過去)に移動することが可能になる。これを「事象の飛び移り座屈」(スナップスルー)という。「宝玉」が未来、もしくは別次元の世界に静止している場合も同様である。

時は可逆、歴史は不可逆[編集]

時間旅行に関するパラドクスは数多く存在する。例えば、時間をさかのぼって過去へ行き、自分を産む前の両親を殺害すると、自分は歴史から消えてしまうに違いない。これにより、両親が命を落とすことになる原因も同時に消滅する。歴史を俯瞰(ふかん)すると、この世に存在しない者が両親を殺したことになる。論理的には起こり得ない現象である。従って、時間旅行は空想の産物に過ぎないと言われることがある。

本作においては、「時は可逆、歴史は不可逆」という概念を用い、この問題を解消する。両親を殺すため、Rデバイスを使って時間をさかのぼり、両親が出会うことになる場所へ向かったとしよう。本来なら、この場に自分は存在しないはずである。これは歴史の改変を意味するのだろうか? 否、歴史は不可逆、すなわち変えられないのだから、自分がたどり着いた過去は、元々の過去とは異なる。時間をさかのぼることによって、「両親の出会いに自分が立ち会う」世界が生成されたのだ。元の世界とは似て非なるパラレル・ワールドである。並行(平行)世界とも言うが、「事象科学」では「並列世界」と呼び習わす。「並列世界」の「並列世界」が生成されることも、無論ありうる。

世界像の数学モデル[編集]

因果律を含めた世界像を数式によって表すため、因果律を流体に見立て、流体力学を適用すると、以下の基礎方程式が導かれる。

<math>\left( \frac{\partial}{\partial t}+ \frac{\partial}{\partial e} \right)\rho+\nabla \cdot \rho \mathbf{u} = 0 \quad(1)</math>
<math>\left( \frac{\partial}{\partial t}+ \frac{\partial}{\partial e} \right)\rho \mathbf{u} +\nabla \cdot \rho \mathbf{u} \mathbf{u} = \nabla \cdot \Phi + \rho \mathbf{f}\quad(2)</math>
<math>\left( \frac{\partial}{\partial t}+ \frac{\partial}{\partial e} \right)E +\nabla \cdot E \mathbf{u} = \rho \mathbf{u} \cdot \mathbf{f} + \nabla \cdot \Phi \cdot \mathbf{u} \quad(3)</math>
t:時間 e:因果律 ρ:事象密度 u:時間と因果律のベクトル流速
E:内部エネルギー(運動エネルギー位置エネルギー電磁力など)
f:単位等価質量あたりの領域力ベクトル Φ:境界力ベクトル
∇·Φ:領域力(系の領域すべてに働く外力) ρf:境界力(系の境界のみに働く外力)
ρu·f:領域力エネルギー ∇·Φ·u:境界力エネルギー

(1)は連続の式、(2)は運動方程式、(3)は熱力学第一法則から導かれるエネルギー方程式である。

相対性理論によると、速度vで移動する物体の質量mおよびエネルギーEは以下の式で表される。

<math>m=\cfrac{m_0}{\sqrt{1-\cfrac{v^2}{c^2} }} \quad(4)</math>
<math>E=\cfrac{m_0c^2}{\sqrt{1-\cfrac{v^2}{c^2} }}=mc^2 \quad(5)</math>
m0静止質量、c:光速度

(5)は、質量とエネルギーが等価であることを示している。すなわち、質量mの物体を消滅させると、mc2のエネルギーが生じるのである。

これを「事象科学」に適用すると、拡張アインシュタイン則が得られる。

<math>E=M(x,t,e)\left\{ C(e) \right\}^2 = \int_{\Omega}\rho(x,t,e) \left\{ C(e) \right\}^2 d\Omega\quad(6)</math>
Ω(x,t,e):対象となる領域 C(e):事象素子の速度
<math>M = \int_{\Omega}\rho(x,t,e) d\Omega\,</math> :時間、空間、因果律の軸上に存在する質量(等価質量)

等価質量Mの消滅・生成により、エネルギーEの生成・消滅が起こるわけである。Eを因果律エネルギーと呼ぶことにする。

層流と乱流[編集]

流体の状態には、層流乱流がある。前者は不規則な変動を含まない流れであり、後者は流速や圧力が不規則に変化する流れである。因果律の層流とは、先の基礎方程式に従い、因果律がスムーズに伝達される状態をいう。しかし、因果律エネルギーが外界から層流に供給され、因果律の伝達速度と事象粘性の比がある値を超えると、不安定な状態になり、因果律の渦が形成される。これが乱流である。

層流の場合、因果律は一方向にのみ流れる。対し、乱流の場合は、事象Aが事象Bを生み、事象Bが再び事象Aを生むといったことが起こり得る。因果律の渦は周囲にエネルギーを渡しながら運動を続けるため、外部からのエネルギー供給が途絶えると、層流に戻る。

事象のシュヴァルツシルト半径[編集]

Rデバイスを用いれば時間旅行が可能になると述べたが、「事象密度」が著しく高い世界に接近すると、過去や未来、別次元の世界に移動することが困難になる。脱出速度を例に、この現象を説明しよう。

ある天体の表面に置かれている物体が、天体の重力圏を完全に脱するには、以下の式で表される初速v(脱出速度)を水平方向に得る必要がある。

<math>v = \sqrt{ \frac{2GM}{r} }\quad(7)</math>
G:万有引力定数 M:天体の質量 r:天体の半径

vに光速cを代入すると、脱出速度と光速が等しくなる時の半径

<math>r=\frac{2GM}{c^2}\quad(8)</math>

が求まる。この半径より内側の領域においては、さえも天体の重力からは逃れられない。いわゆるブラックホールである。重力場方程式を解き、ブラックホールの存在を示唆した天文学者シュヴァルツシルト」にちなみ、(8)をシュヴァルツシルト半径と呼ぶ。

「事象密度」は事象の起こりやすさを表すため、「事象密度」が極めて高い世界はさながらブラックホールであり、接近すると他の世界への移行が困難となる。この時、「事象密度」の逆数を「限界半径」、もしくは「事象のシュヴァルツシルト半径」という。「限界半径」の内側においては、いかなる手段を用いようとも他の世界への移動は叶わない。「運命」と呼ばれる状態である。

ノイマン世界[編集]

系が完全に閉じられており、因果律が外部の系に流出しない(また、外部の系から流入しない)世界をディリクレ世界という。逆に、これらが起こりうる世界をノイマン世界と呼ぶ。ノイマン世界においては、内部の因果律と外部の因果律が衝突するため、因果律の破綻が生じる。他方、ディリクレ世界の因果律が破綻することは通常ならありえないが、並列世界との干渉が起こると、ノイマン世界となる。我々の常識に反する現象(超常現象)が時おり現実のものとなるのは、このためである。

ノイマン世界は、ディリクレ世界の内部にも存在する。国家文明をひとつの系と見なせば、異文化の流入は因果律の破綻を意味する。極東島国であった日本(ディリクレ世界)は、黒船の来航、文明開化などにより、ノイマン世界になったと解釈される。

スイス心理学者ユング」が提唱した共時性(心に思い浮かべた風景と外部の事象が、なんらかの働きによって一致する現象)と呼ばれる概念も、個体をノイマン世界と見なすことで説明が可能になる。一般には単なる偶然とされるが、外部から流入した因果律が本人の意識に影響を与えたとすれば、心の風景と外部の事象が一致してもおかしくはない。虫の知らせも同様である。また、ユングの師であるフロイトは、抑圧された意識が無意識を形成すると考えた。無意識はなどの形を取って本人の意識に現れるが、無意識から自我に向かって因果律が流れていると仮定すると、自我もやはりノイマン世界となる。因果律の流入は大抵の場合、意識では捕らえられないため、本人は共時性や虫の知らせを不思議がることになる。

Rデバイスは「事象密度」を調整することにより、ノイマン世界の境界を超える(外部の系に移動する)ことを可能にする装置であると言える。

並列世界[編集]

我々が暮らす世界は様々な可能性をふくんでいるため、時おり複数の世界に分裂する。分裂の元になる世界を「原世界」、分裂により生じた世界を「従属世界」と言う。並列世界とは、「原世界」から見た「従属世界」のことである。従って上図の場合は、世界B,C,Dが世界Aの並列世界にあたる。B,C,Dの差異は微々たる物だが、分裂を重ねるたびにそれは広がり、ついには似ても似つかない世界になる。

Rデバイスを使い、同じ層に存在する別の世界に移動するとなにが起こるのだろか。別の世界にも「自分」は存在するのだから、ふたりの「自分」がひとつの世界に並び立つことが予想される。しかしこれは誤りである。b層を例にとって説明しよう。世界Bの「自分」がCに移動すると、Cの「自分」はDに押し出される。質量保存の法則が働いた結果である。これによりDの「自分」もBへの移行を余儀なくされる。「自分」と「自分」の鉢合わせは起こり得ないわけである。

下層(従属世界)から上層(原世界)に移動する場合はどうだろうか。従属世界B,C,Dの因果律は基本的にそれぞれ独立しているが、ひとつの世界で原世界Aへの移動が起こると、他の世界でも同様の現象が生じる。このため、b層の従属世界はすべて消滅する。上層から下層への移動は、従属世界を形成することによってなされる。

従属世界の形成・消滅エネルギーEは拡張アインシュタイン則(6)から導かれる。

<math>E=\sum_{j=1}^m M_j(\rho_j,\phi_j,H_j,t_j)\left\{ C_j(\rho_j,\phi_j) \right\}^2\quad(9)</math>
m:従属世界の数 Mj:次元等価質量 ρj:事象密度
Φj:事象ポテンシャル(起こりうる事象の数を表す) Hj:次元の保有空間
tj:次元の保有時間 Cj:因果律エネルギー

カオスの矯正[編集]

事象移動により持ち越せるモノ(物体に限らず)が世界の許容範囲を逸脱した場合、それは世界から「矯正」を受ける対象となる。例えば主人公は、チャートの終端地点にたどり着いた際に「カオスの矯正」として強制的に始端地点まで飛ばされてしまう。これは、異端分子の知識・モノを持つ主人公がより長い時間を過ごすにつれ、主人公の可能性存在が増える=可能性世界の増殖速度が指数関数的に増大する為である。

また、「カオスの矯正」を受けた主人公は事象移動前の記憶を殆ど忘れてしまう。これは、別事象での記憶を失う事で、ある程度反復した行動を対象者に半ば強制する事を意味する。つまり、Rデバイスを所持する主人公の無数の可能性存在が各事象に跋扈する事で可能性世界が無限に増殖する、そのような事態を世界が未然に食い止めている。もっと具体的に言うと、主人公の行動パターンがカオス領域に発散せず、一定の周期軌道内に収まる事を実現していると言える。つまる所、事象移動者の行動パターンが一定の周期軌道内に収まるという事は、可能性世界の増加に頭打ちが来るという事である。YU-NOのチャート分岐が定められた数しか無いのも、これにより説明出来る。

ブリンダーの木[編集]

事象的介入により可能性世界が爆発的に誕生してゆく様を、その時間発展の様子からツリー構造に見立て、その全体を「ブリンダーの木」と呼ぶ。つまり「ブリンダーの木」を(時間的に)さかのぼると、あらゆる事象の根源、すなわち宇宙の始まりにたどり着く事になる。

ちなみに、ブリンダーの木はゲーム中に示される分岐チャートとは異なるとする意見が多勢である。もし分岐チャートが「時は可逆、歴史は不可逆」というYU-NOの根底理念に基づいている(=ブリンダーの木)ならば、主人公がRデバイスを使った時点で、分岐チャートは別の可能性世界における分岐チャートとして、その全体が様変わりする必要があるからである。これについては、恐らくRデバイスが行っている時間跳躍は「歴史も可逆」を実現するような特殊なものであろうと解する意見がある。

開発の経緯[編集]

オートマッピング[編集]

本作の目玉であるA.D.M.Sは、マルチシナリオと呼ばれる手法に様々な工夫を加えることで成立した。A.D.M.Sに対する理解を深めるため、まずはマルチシナリオの特徴から見ていこう。

この手法は、「弟切草」(チュンソフト)のヒットを契機に、ゲーム業界に定着した。完全に独立した複数の物語をひとつの作品に収めるオムニバスと違い、主人公の行動や選択により物語が枝分かれしてゆくところに特徴がある。枝分かれの様子を図にしたものを、分岐チャートと呼ぶ。シナリオの分岐が複雑を極める場合は、チャートを作成しながらゲームを進めることになるが、これは大変わずらわしい作業である。

本作品の企画・脚本・ゲームデザイン・総合プロデュースを担当した菅野ひろゆき(当時のペンネーム剣乃ゆきひろ)は、上述の問題を解決するため、ダンジョンRPGオートマッピングをマルチシナリオ型AVGに適用することを考えた。オートマッピングとは、ダンジョンの地図を自動的に作成してゆく機能である。主人公の現在地を確認したり、ダンジョンの全体像を把握するのに役立つ。オートマッピングは今でこそダンジョンRPGの常識だが、古くは遊び手が方眼紙にマップを描いていた。PC-8001の時代からパソコンゲームを愛好する菅野ひろゆきは、こういった手間もゲームの醍醐味のひとつだったと語る。分岐チャートの作成についても同様のことが言える。しかしゲームの進化に伴ない、手間を楽しむ感性は過去のものとなり、より便利なシステムが求められることになった。菅野ひろゆきは、先述したマルチシナリオの問題点がいつになっても解決されないことに歯がゆさを感じ、分岐チャートを自動的に作成する機能を考案する。このシステムは「Auto Diverge Mapping System」(オート分岐マッピング・システム)の頭文字を取り、A.D.M.S(アダムス)と名付けられた。

神の視点[編集]

A.D.M.Sは過去に例を見ない斬新なシステムであり、マルチシナリオを採用することがなかば常識となったAVGの世界に変革をもたらす可能性を秘めていたが、菅野ひろゆきの脳裏にはある疑念が浮かんでいた。主人公の行動によってシナリオが分岐することを知っているのは、ゲームの物語を「外」から眺める遊び手のみである。ゆえに、主人公が分岐チャートを描くことはありえない。分岐チャートを作成し、遊び手に提示する役目を負うのは誰なのか。

同様の問題は、RPGの世界にも存在する。RPGは「Role-Playing Game」の略であり、「役割を演じる遊び」と訳される。遊び手は主人公になりきってゲームの世界を旅することになるはずだが、この建前は必ずしも守られていない。多くのRPGに導入されている「経験値」を例にとって説明しよう。戦闘を重ねるたびに蓄積される経験値は、RPGの柱とも言えるシステムである。従って、遊び手は主人公の経験値を確認しながらゲームを進めることになる。主人公が記録しているわけでもないこの数値を、遊び手が知っているのはなぜか。菅野ひろゆきの言葉を借りるならば、「神の視点」でゲームの世界を眺めているからである。

A.D.M.Sの導入によりマルチシナリオ型AVGの攻略は容易になろうが、主人公のあずかり知らないところで分岐チャートの作成を行うと、遊び手に「神の視点」が生じ、主人公と遊び手の意識が乖離することになる。YU-NOの製作を「真のロールプレイングへの挑戦」と位置付ける菅野ひろゆきにとって、これは深刻な問題だった。

並列世界[編集]

「神の視点」を解消するには、主人公にも分岐チャートを見せる必要がある。現実の世界に生きる我々は通常、過去から未来に至る道は一本しかないと考えている。それはゲームの主人公も同様なのだから、主人公が分岐チャートの存在を知ることは極めて不自然である。菅野ひろゆきはこの問題を解決するため、並列世界(パラレルワールド)の導入に踏み切った。主人公が暮らす世界の周囲には別の世界が無数に並列しており、別の世界への移動はシナリオの分岐に相当すると考えることにしたのである。この場合、分岐チャートの視覚化は並列世界の視覚化と同義であり、決して不自然なことではない。分岐チャート(並列世界の構造)を自動的に描く「装置」を持った主人公は、ある目的を果たすため、この「装置」を頼りに並列世界を渡り歩いてゆく。分岐チャートはもちろん遊び手にも提示される。主人公と遊び手の一体化(真のロールプレイング)である。

転機[編集]

A.D.M.Sは当初、シーズウェアのAVG「XENON」(1994年)に搭載される予定だった。しかし、同社は一作の開発に長くても四ヶ月しか時間を割かない方針をとっていた。企画、シナリオ、スクリプトプログラミングをひとりですべてこなす菅野ひろゆきに、オートマッピングの実装を果たす余裕は存在せず、採用は見送られた。

菅野ひろゆきは「EVE burst error」(1995年)の開発を終えると、1996年、アダルトゲーム業界の老舗と称されるエルフに移籍する。同社は優れた開発力を有しており、八ヶ月もの時間と専任のプログラマ菅野ひろゆきに与えた。シーズウェアに在籍していた時には実現が不可能だった先の構想が、ようやく陽の目を見ることになった。PC98版YU-NOの開発は、こうして始まったのである。

本編の内容は現代編と異世界編に分けられる。無数に並列する現代の日本を渡り歩き、「宝玉」と呼ばれるアイテムをすべて集めると、物語の舞台は、古代西洋を連想させる異次元の世界に移る。ゲームデザインとシナリオに専念することが可能な環境を手に入れ、開発に意欲を燃やす菅野ひろゆきは、現代編(標準的なプレイ時間は30~40時間)を「大いなる序章」、異世界編を本編と位置付けていた。しかし、開発の遅れから現代編が本編となる。当初の構想は七割ほどしか実現しなかったという。このためか、現代編と異世界編は非常に対照的な作りになっている。前者がA.D.M.Sとアイコンクリック(詳細はシステムの項を参照)を採用しているのに対し、後者はシナリオの分岐を持たない上、コマンドを選択することでゲームを進める形式をとっている。

菅野ひろゆきは1997年、アーベルを設立するが、この時、同社のWEBサイトにおいて、「YU-NOは自分の中で駄作だったが、市場のポジティブな評価を知って自信を取り戻した」という趣旨の発言をしている。開発中は、異世界編が従来のAVGとなんら変わらない内容になったことに失望していたのだろう。

エルフの挑戦[編集]

さて、YU-NOの開発はアダルトゲーム業界にひとつの話題を提供することになった。

エルフが当時(1996年)、業界の最大手と言われていたのは、「ドラゴンナイト」(1989年)や「同級生」(1992年)のヒットによるところが大きい。特に同級生は、アダルトゲーム市場の基礎を築くのみならず、美少女ゲームブームの先駆けとなった「ときめきメモリアル」(1994年)に多大な影響を及ぼすなど、顕著な功績が認められる。これらのタイトルを手掛けたのは、同社の代表取締役(当時)を務める蛭田昌人である。他方、シーズウェアに在籍していた菅野ひろゆき(当時のペンネーム剣乃ゆきひろ)も、「DESIRE」(1994年)および「EVE burst error」(1995年)のヒットにより名声を高めていた。

1996年、菅野ひろゆきはエルフに移籍する。詳しい経緯は不明だが、PC98時代のアダルトゲーム業界を代表する両者が一堂に会すことになったのである。蛭田はYU-NOの製作を菅野ひろゆきに一任した上で、今後、自身の作るゲームと菅野ひろゆきの作るゲームが交互に発売されるとの見通しを示した(電撃王1997年1月号、1996年12月7日発売)。エルフの作品はそれまでもっぱら蛭田が手掛けていたから、これはある意味、美少女ゲームに限らずゲーム世界での衝撃的な事件だった。電撃王は、YU-NOの製作をエルフの「新たな挑戦」「転換期」と位置付けている。

ふたりは互いの力量を認め合う仲だった。

「良いゲームを創るために心血を注ぐ男」(蛭田が菅野ひろゆき(剣乃ゆきひろ)を評して。電撃王1997年1月号)

「強力なゲームデザイナー」(菅野ひろゆきが蛭田を評して。YU-NO 完全ガイド)

しかし両者はやがて袂(たもと)を分かつことになる。1997年、セガサターン版YU-NOの開発を終えた菅野ひろゆきが「理想の環境」を求めてエルフを退社、アーベルの設立に踏み切ったからである。参考サイト「ZDNet Japan - Gamespot - Interview 7/30」(このページはすでにリンクが切れているが、Internet Archive上で閲覧が可能) 1/3 2/3 3/3

蛭田と交互に作品を制作する予定だったにも拘らず退社したことから、菅野ひろゆきとエルフの確執が一部で噂された。真相は不明だが、少なくとも菅野ひろゆきは「転機」の項に記したエルフの環境を肯定的に捉え、「この環境がなければ『YU-NO』は生まれなかったでしょう」(ファウスト 2004 MAR Vol.2)と述べている。

総評[編集]

当初の構想が頓挫し、失意に陥る菅野ひろゆきだが、1996年末に発売されたPC98版YU-NO(アダルトゲーム)は高い評価を受けた。物語の背後に隠された壮大な世界観とA.D.M.Sの斬新さがAVGファンの心を掴んだのである。他方、異世界編が一般的なAVGとなんら変わらない内容になっていることを理由にYU-NOを低く評価する者もいる。月刊デジタルメディアインサイダーの集計によれば、販売数は4万5000本ほどであり、1996年のアダルトゲーム市場において鬼畜王ランスアリスソフト制作)に次ぐヒット作となった。もっとも、エルフが行っていた通信販売は集計の対象外であるから、実際の販売数は上記の数字よりも多いはずである。

PC98版の成功を受け、1997年末にはセガサターン(SS)への移植も行われた。電撃プレイステーション集計によると累計で23万980本という堂々たる数字を残した。(週刊ファミ通の集計によるとSS版の販売数は14万本と記載されるが、集計期間の差かもしれない)。1997年に発売されたコンシューマーゲームの中ではかなりの上位であり、健闘と言えよう。

YU-NOが好評を博したことは上記の事実から明白だが、現在のエルフはYU-NO(もしくは菅野ひろゆき)の存在を快く思っていないのか、移植やリメイクには消極的である(詳しくは菅野ひろゆきの「菅野とエルフ」を参照)。YU-NOのリメイクを望む声は、今もファンの間で根強い。

さて、YU-NOはA.D.M.Sの採用によりAVGの新たな可能性を市場に提示したが、A.D.M.SとYU-NOの世界観は表裏一体の関係にあるため、A.D.M.Sだけを切り取って他のAVGに転用することは困難である。単純なマルチシナリオがAVGの主流となっている現状とあいまって、A.D.M.Sをさらに発展させようという動きはいまだゲーム業界に見られない。

ポストモダンとの関連[編集]

哲学的な見地からYU-NOを高く評価する向きもある。哲学者東浩紀は、いわゆるオタク文化とポストモダンの関係を論じた『動物化するポストモダン』の中でYU-NOを取り上げ、詳細な分析を加えている。ポストモダンとは「近代(モダン)に次(ポスト)に現れる世界」のことだが、同書は簡便のため「1970年代以降の世界」と規定している。YU-NOを初めとするオタク文化にはポストモダンの本質がよく現れているとする東の論を、以下に概観する。

シミュラークルとデータベース[編集]

フランスの思想家ボードリヤール(1929-)は、ポストモダンの出現により、シミュラークル(オリジナルを持たない模造品)が社会に蔓延すると考えた。アマチュアのみならずプロの作家までもが、コミックマーケットやインターネットで二次創作を盛んに発表し、オリジナルと模造品の区別を消滅させている昨今の状況は、シミュラークルの蔓延に他ならない。

また、リオタール(1924-1998)は、ポストモダンの特徴を「大きな物語の凋落」に求めた。大きな物語、すなわち国家の運営に必要な思想、道徳、価値観は、近代の終焉と共に役割を終え、我々は依拠すべきものを失うのだという。オタク文化の愛好者が閉鎖的な共同体に閉じこもるのは、大きな物語に代わる新たな価値観、規範を求めてのことだった。

近代の世界観は、社会の深層に存在する大きな物語によって規定されていた。これを投射モデルと呼ぶ。対し、ポストモダンの世界は、データベース・モデルによって捉えられる。深層に広がるのは今やデータベース(情報の集合)のみであり、我々の眼に映る表層的な世界(シミュラークル)は、データベースの情報を様々に解釈することで形成される。近代の世界観は一通りしか存在しないが、ポストモダンの世界観は思想や価値観の数だけ存在することになる。各作品の設定(データベース)を元に二次創作(シミュラークル)が次々と作られてゆくオタク文化の現状は、ポストモダンの特徴をよく反映していると言えよう。

解離的な共存[編集]

データベース・モデルは作品の内部にも存在する。たとえば、アドベンチャーゲームの物語は複数の素材(テキスト、画像、音楽)を組み合わせることで作られるが、素材の集合を作品のデータベースと見なすならば、遊び手の眼前に提示される物語はシミュラークルとなる。ポストモダンの体現者たるオタクは、シミュラークルとデータベースを同時に消費することを欲する。データベースの消費とは、ゲームのファイルから素材を取り出し、作品の成り立ちを明らかにすることである。素材は大抵の場合、暗号化されているが、高度な知識を持った有志によって公開されるソフト(Susieなど)を用いれば、汎用的な形式(画像ならbitmapJPEG)に変換することが可能になる。暗号の解析は言うまでもなく手間を要する作業である。彼らがそれでも解析に挑むのは、データベースの消費を強く志向しているからである。シミュラークルへの欲求とデータベースへの欲求が互いに切り離された状態で共存することを、「解離的な共存」と呼ぶ。

ポストモダンの自覚[編集]

マルチシナリオの構造もデータベースの一部である。ゆえに、分岐チャートを作成し、物語の成り立ちを解明することは、データベースの消費と等価である。これに対しYU-NOはA.D.M.Sを採用することで、従来は秘匿されていた分岐チャートを見えるものにした。遊び手がデータベースに対して抱く欲求は作品の内部で満たされることになる。ポストモダンの特徴(シミュラークルの消費とデータベースの消費)を自覚することから生まれたYU-NOを、東は「きわめて重要な作品」と評する。

超平面性とポストモダンの寓話[編集]

あるシミュラークルと他のシミュラークルの関係は、「超平面的」という言葉で捉えられる。データベースを様々に解釈することで無数に生産されるシミュラークルは、互いに等価である。ゲームの場合、二進数の列(データベース)がプログラム(シミュラークル)を規定し、プログラムがテキストや画像(他のシミュラークル)を描き出すのだから、必ずしも等価とは言えないが、両者の実体はいずれも二進数である。プログラムをエディタで開けば、ゲームの画面とプログラムを同一のディスプレイに並べることが可能になる。異なる階層のものが同じ平面に並ぶという意味で、これを「超平面的な世界」と呼ぶ。世界が無数に並列するYU-NOの物語は、ポストモダンの特徴である「超平面的な感覚」を元に作られたのである。

さて、「超平面的な世界」を生きるYU-NOの主人公は、他の世界に移動するたびに記憶を失う。ある種の矛盾を含んだ設定だが、東によれば、記憶の断片化は解離性同一性障害(俗に言う多重人格)の流行を反映しているという。従来は全く認知されていなかった解離性同一性障害の報告例が1970年代(ポストモダンの始まり)に入って急増したことから、この疾患を「文化的な運動」と解釈する向きもある。東は、患者に内在する複数の人格が記憶を「部分的に」共有している事実に着目し、YU-NOとの関連を論じる。

YU-NOの主人公は、なんの前触れもなく失踪した父を探し出すため、ある装置を使って無数に並列する現代を渡り歩く。彼の記憶は世界を移動するたびに失われるが、行動は連続している(つまり正確には、記憶を「部分的に」失っている)。父との再会に必要な「宝玉」と呼ばれるアイテムをすべて集めることに成功すると、並列世界の旅は終わり、物語の舞台は古代の西洋を連想させる異世界に移る。父の失踪を「大きな物語の凋落」(ポストモダンの始まり)に見立てるなら、並列世界の旅は人格の分裂、「宝玉」の収集は人格の統合に相当する。大きな物語が日本から失われた結果、我々は虚構の世界に依拠して生きることを余儀なくされているが、YU-NOの主人公も、大きな物語(父)を捜し求める旅路の果てに架空の世界(異世界)にたどり着く。YU-NOの物語は、言うなればポストモダンの寓話なのだった。

シミュラークルへの欲求とデータベースへの欲求を同時に満たすシステムを作り上げ、シナリオの面では「大きな物語の凋落」や解離性同一性障害を描いたYU-NOを、東は「きわめて周到な作品」と評し、さらには、YU-NOに代表されるオタク向けだが優れた作品を自由に批評し合える時代を作るために「本書は書かれている」と述べ筆を置く。

PC98版の評価[編集]

前評判[編集]

菅野ひろゆき(当時のペンネーム剣乃ゆきひろ)がデザインを手掛けたYU-NOの広告は、アダルトゲームの話題を扱う各誌に波紋を広げた。本編のメインヒロインであるユーノが広大な宇宙を背景に眠る姿は非常に印象的であり、製作の発表に先立って掲載されたにも関わらず、読者の注目を一身に集めたのだ。また、「DESIRE」や「EVE burst error」のヒットで知られる剣乃ゆきひろが、業界の最大手エルフの資本を背景に送り出す作品ということもあって、各誌はYU-NOを大々的に取り上げた。

「あまりにも暗示的な広告でファンの注目を一気に集めているのが、このYU-NOだ」(電撃王 1996年11月号)

「エルフが今秋に放つ、期待の新作がついに姿を現す」(コンプティーク 1996年11月号)

「長めのタイトル、インパクトの強いイメージ広告、エルフというブランドの相乗効果で前評判が高い新作」(E-Login 1996年12月号)

本作の目玉であるA.D.M.Sにも注目はもちろん集まり、「アドベンチャーゲームの常識を覆す」「画期的」システムと評される。電撃王1997年1月号(1996年12月7日発売)は、「年末年始に発売されるベストゲームはこれだ」と称して、YU-NOの名を巻頭に挙げている。また、同誌が読者アンケートを元に作成した「読者の欲しいソフト」ランキングでは、1997年2月号・3月号で1位を獲得している。

売り上げ[編集]

デジタルメディアインサイダーの集計によると、1997年11月30日までに4万5844本(CD版-3万0553本/3.5FD版-1万5291本)のセールスを記録している。同誌の1997年の年間ランキングでは、CD版が14位となっている。(ちなみに1位は「SHOCK PRICE 500 麻雀」で7万7102本、アダルトゲーム最多は3位の「鬼畜王ランス」で7万2572本となっている)

もっとも、エルフが行っていた通信販売は集計の対象外であるから、実際の売り上げを反映しているとは考えにくい。事実、コンプティーク1997年3月号(1997年2月8日発売)は、YU-NOを紹介する際、「早くも10万本の大台へ手が届くと噂されている超話題作」と述べている。各店舗の売り上げに通販の売り上げを加えると、10万本に近い数値になるのだろう。

ユーザーの評価[編集]

この作品は、売り上げばかりではなくその内容にも高い評価が与えられた。

例えば、電撃王の「第2回 電撃王ゲームソフト大賞」(1997年5月号)では、読者投票の平均点が最も高い作品に与えられるヒートアップ賞を受賞しており、E-Loginの「ゲーム & ヒロイン of the year 1996」(1997年6月号)のゲーム部門で9位(1位は「同窓会」)、コンプティークの「第1回コンプティーク・ソフト大賞」(1998年2月号)で5位(1位は「To Heart」)を記録するなど、ファンから高評価を得ている。

セガサターン版の評価[編集]

前評判[編集]

PC98版の移植か決まると、コンシューマーゲームを扱う各誌はこれを大々的に報じた。

「壮大なストーリー、独特の世界観、斬新なシステムが多大な評価を得た『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』がついに移植決定」(セガサターンマガジン VOL.22、1997年6月20日発売)

「昨年末、パソコンユーザーの間に鮮烈な感動を巻き起こした作品『この世の果てで恋を歌う少女YU-NO』 この話題作をどこよりも早く大紹介」(電撃セガサターン VOL.1、1997年6月20日発売)

「パソコンで発売され、練り込まれたシナリオや美しいグラフィックなどでヒットした『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』のサターン版の情報をいよいよ公開」(ファミ通 No.454、1997年8月8日発売)

セガサターンマガジンはYU-NOの初報に誌面を4ページ割いた。電撃セガサターンにいたっては、創刊号の巻頭を6ページも割いている。移植の決定がこれだけ大きな反響を呼んだのは、家庭用ゲーム機のユーザーから見てもA.D.M.Sが斬新だったこと、および以下に述べる事情による。

  • 時勢
当時は美少女ゲームの全盛期だった。1995年に発売されたプレイステーション(PS)版「ときめきメモリアル」(コナミ)のヒットにより、従来は決して目立たない存在だった美少女ゲームに注目が集まり、類似の作品が多く作られた。96年から98年にかけては20万本を超えるセールスもめずらしくなかったが、美少女ゲーム市場はやがて縮小に向かうため、この時期の好況をバブルと表現することがある。YU-NOの移植が発表されたのは97年6月、バブルの真っ只中である。
  • エルフ
発売元がエルフだったことも大きい。同級生のヒットにより、アダルトゲーム市場の最大手に成長した同社は、「野々村病院の人々」や「下級生」を引っさげてセガサターン市場に参入。「野々村病院の人々」(1996年11月29日発売)は32万7310本、「下級生」(1997年4月25日発売)は25万3495本のセールスを記録した。10万本にも達しないソフトが無数に存在することを考えると、大成功と言えよう。ゆえに、次の作品(YU-NO)も自然と世間の関心を集めることになる。
移植の発表に先立つ1997年1月24日、「EVE burst error」のSS版が発売される。同作のオリジナルは、菅野ひろゆきシーズウェアに在籍していた時に手がけたPC98版(1995年11月22日発売)である。PC98版のシナリオとシステムを忠実に再現したSS版は、セガサターンマガジンの読者レース(詳細は後述)で一位を獲得するなど、非常に高い評価を得た。菅野ひろゆきがエルフに移籍したのは96年のことだから、移植にはもちろん関与していないが、SS版EVEの成功を機に、彼の名はコンシューマーゲーム市場にも轟くことになる。YU-NOの移植を歓迎する動きの背景には、菅野ひろゆきへの期待が多分に存在したのである。

これらの事情から、YU-NOに対するユーザーの期待は日増しに膨らんだ。各誌がアンケート葉書をもとに作成する「期待の新作TOP30」(ファミ通、セガサターンマガジン)、「前評判TOP15」(電撃セガサターン)を見ると、毎号、上位に食い込んでいることがわかる。セガサターンマガジンと電撃セガサターンは、セガサターンのソフトのみを扱うため、総合誌のファミ通よりも順位が高くなる傾向にある。

最後に、発売の直前に掲載された各誌のレビュー(批評)を紹介しよう。ファミ通とセガサターンマガジンの場合は、編集者が10点満点で各作品を採点する。他方、電撃セガサターンは批評のみとなっている。YU-NOのレビューを読み比べると、セガサターンマガジンと電撃セガサターンが高い評価を下していることに気付く。理由を以下に述べる。

プレイステーションNINTENDO64と違い、セガサターンは性的な描写の規制が緩いことから、アダルトゲームが数多く移植された。代表的な例が先述の「野々村病院の人々」と「下級生」である。両者のセールスはいずれも20万本を超えている。美少女ゲームは、まぎれもなくセガサターンの柱のひとつだった。よって、同機を専門に扱う両誌は、美少女ゲームの愛好家を多く抱えていた。レビューは彼らと同じ価値観、感性のもとに行われることになる。

他方、ファミ通はプレイステーション、セガサターン、NINTENDO64の情報を均等に取り上げるため、読者の嗜好に偏りがない。性的な描写を露骨に含む作品を高く評価することはためらわれたのである。

  • ファミ通 No.469(1997年11月28日発売)
計27点を獲得。内訳は、サワディ・ノダ(8点)、水ピン(7点)、イザベラ永野(7点)、ローリング内沢(5点)。「一筋縄ではいかない複雑なシナリオ」(サワディ・ノダ)「過去に戻って違う道を選択し、いろいろな話を体験する。それがおもしろい」(水ピン)
  • セガサターンマガジン vol.43(1997年11月28日発売)
計27点を獲得。内訳は、加島(9点)、明石家サンマン(9点)、かなめ(9点)。「遊ぶ楽しみと読む楽しみが融合した秀逸作」(明石家サンマン)「自分が18歳以上でよかったと、本気で思える作品」(かなめ)
  • 電撃セガサターン vol.11(1997年11月28日発売)
採点はなし。「精巧かつ緻密に構成された感動的なシナリオ」(田中S)「極上のAVG(アドベンチャーゲーム)」(シルキー麻里菜)

シナリオとシステムが高い評価を得ていることがわかる。魅力的なヒロインを描くことのみに重点を置き、ゲーム性をおろそかにしがちな美少女ゲームは、時に「紙芝居」「デジタルコミック」と揶揄されるが、YU-NOは一般のゲームと比較しても遜色のない完成度を持っていると判断されたのである。

もっとも、担当者が最後までプレイしたという保障がないため、彼らの批評を全面的に信頼するわけにはいかない。各誌の評価を分析する際は、この点に留意されたい。

売り上げ[編集]

各誌の集計を以下に示す。集計の方法や期間が雑誌によって異なるため、数値にばらつきが生じている。しかし、実際にはそれほど差がないと見られる。「下級生」を例にとって説明しよう。SS版「下級生」のセールスは、ファミ通によると25万3495本、セガサターンマガジンによると27万8042本である。従って、YU-NOの売り上げはファミ通の集計においても20万本を越えていると考えて差しつかえないはずである。1997年のコンシューマーゲーム市場で20万本を超えるセールスを記録したソフトは59本しかないから、健闘と言えよう。参考サイト1参考サイト2

ユーザーの評価[編集]

各誌が行った読者アンケートの結果を以下に示す。PC98版と同様、高い評価を得ていることがわかる。また、「サクラ大戦」や「下級生」、「EVE burst error」といった作品も上位に顔を見せている。20万本を超えるセールスがめずらしくなかったことを根拠に、この時期(1996年~1998年)は美少女ゲームの全盛期にあたると先に述べたが、バブルの影響は読者アンケートにも現れていたのである。

  • セガサターンマガジン
  • SEGASATURN MAGAZINE GRAND PRIX 1997(サタマガグランプリ)
読者の投票により、最も優れたセガサターン用ソフトを選出しようという企画。対象となるのは、96年12月1日~97年12月18日に発売された389タイトル。22の部門賞が設けられている。1998年1月2日号(1997年12月19日発売)にて告知される。締め切りは1998年1月23日(当日消印有効)。本誌に付属の投票用紙(各部門に一票ずつ投じる)を官製葉書に張り、編集部に送付する。有効票は18,596票。YU-NOが受賞した部門は以下のとおり。詳細は参考サイトを参照。
部門順位得票数概要備考
最優秀作品賞5位840票最も優れた作品に贈られる。
サタマガグランプリ最高の賞
1位はグランディア
最優秀シナリオ作品賞3位1895票シナリオや世界観が優れた作品に贈られる-
最優秀グラフィック作品賞9位461票グラフィックが優れた作品に贈られる-
最優秀移植作品賞4位956票他の機種から移植された作品のうち、
移植性やアレンジが優れていたものに贈られる
-
最優秀パッケージアート賞4位1174票パッケージのデザインが優れた作品に贈られる-
アドベンチャー作品賞3位2950票ノミネート作品は44本-
最優秀主演男優賞6位741票読者の支持を集めた
男性キャラ(主役格)に贈られる
有馬たくやが受賞
最優秀主演女優賞6位758票読者の支持を集めた
女性キャラ(主役格)に贈られる
ユーノが受賞
  • 読者レース
セガサターンのソフトを読者が10点満点で採点するコーナー。セガサターンマガジンの創刊と共に始まる。各ゲームの平均点(オッズ)は、投票者が10名を越えた時点で公開される。1999年7月23日増刊号(1999年7月9日発売)をもって打ち切り。全145回。しかしながら、投票の受け付け自体は99年末まで続いた。Race145(すなわち1999年7月23日増刊号)の結果にこれらの数値を加えたデータは、のちに最終オッズとして発表される。従って、Race145のオッズと最終オッズは必ずしも一致しない。YU-NOの最終オッズは、以下に見るとおり9.4782(4位)である。セガサターン用ソフトは2000年3月31日現在、1156本も発売されているから、この結果は賞賛に値するだろう。なお、最高オッズは9.7273、最低オッズは9.4590だった。
最終オッズ
順位タイトルオッズ
1位EVE burst error9.5014
2位グランディア9.4847
3位ラングリッサーV The End of Legend9.4844
4位この世の果てで恋を唄う少女YU-NO9.4782
5位街 ~運命の交差点~9.4743
6位Piaキャロットへようこそ!!29.4725
7位サクラ大戦29.4632
8位リンダキューブ 完全版9.4630
9位CULDCEPT9.4545
10位デビルサマナー ソウルハッカーズ9.4547
1位を獲得した回数
順位タイトル回数
1位サクラ大戦221回
2位サクラ大戦16回
3位この世の果てで恋を唄う少女YU-NO15回
4位バーチャファイター213回
5位バーチャファイター12回
『サターンのゲームは世界いちぃぃぃ!』をもとに作成。9位と10位の数値が逆転しているが、誤植と見られる。
  • 電撃王
  • 第3回 電撃王ゲームソフト大賞
国内で発売されたゲームソフトに対する評価を読者から広く募り、優秀な作品を表彰しようという企画。1998年3月号の誌面にて告知される。対象となるのは、1997年1月1日から12月31日の間に発売されたソフト。読者は好きなゲームソフトのタイトルを五つ挙げ、それぞれ100点満点で評価する。機種は問わない。最も多くの票を得た作品に贈られるのが「トレンド賞」、得票数が20を超え、なおかつ平均点が最も高い作品に贈られるのが「ヒートアップ賞」である。無作為に選ばれた2000通の葉書が集計の対象になる。締め切りは98年3月8日。結果の発表は、1998年5月号(1998年4月8日発売)の誌面にて行われた。有効票は8536票(2000×5 - 無効票)。
トレンド賞
順位タイトル機種得票
1位ファイナルファンタジーVIIPS819
2位グランディアSS321
3位テイルズ オブ デスティニーPS319
4位スーパーロボット大戦FSS309
5位ファイナルファンタジータクティクスPS252
6位グランツーリスモPS248
7位デビルサマナー ソウルハッカーズSS239
8位下級生SS223
9位EVE burst errorSS209
10位この世の果てで恋を唄う少女YU-NOSS207
ヒートアップ賞
順位タイトル機種得点
1位To HeartWin9592.86
2位アリスの館4・5・6Win9592.56
3位デビルサマナー ソウルハッカーズSS90.55
4位ファイナルファンタジーVIIPS90.54
5位悠久幻想曲PS90.35
6位この世の果てで恋を唄う少女YU-NOSS90.10
7位悠久幻想曲SS89.85
8位EVE burst errorSS89.48
9位グランツーリスモPS89.14
10位Jリーグプロサッカークラブをつくろう!2SS89.11
PS-プレイステーション SS-セガサターン Win95-Windows95

関連商品[編集]

執筆中

  • この世の果てで恋を唄う少女YU-NO SUPER SOUND TRACK
  • この世の果てで恋を唄う少女YU-NO オリジナル・サウンド&ボイスコレクション
  • テレホンカード
  • エルフ大人の缶詰

漫画版[編集]

執筆中

小説版[編集]

執筆中

  • 神代創 『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO I.美月』 発行所:ケイエスエス 初版発行:1998年1月27日 ISBN 4-87709-191-2
  • 神代創 『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO II.神奈』 発行所:ケイエスエス 初版発行:1998年4月2日 ISBN 4-87709-205-6
  • 神代創 『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO III.セーレス』 発行所:ケイエスエス 初版発行:1998年7月30日 ISBN 4-87709-245-5
  • 神代創 『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO IV.ユーノ』 発行所:ケイエスエス 初版発行:1998年12月3日 ISBN 4-87709-281-1

OVA版『YU-NO』[編集]

  • 『第1幕 誘惑する事象たち』
  • 『第2幕 不連続体のコンチェルト』
  • 『第3幕 分岐点のシンデレラ』
  • 『第4幕 世界の果てで女神は唄う』

全4話という限定的な話数の都合上、世界観に関する解説が極めて淡白であり、原作であるゲーム版を未体験の場合、理解は非常に困難。基本設定は原作を踏襲しつつ、細部の展開に差異が見受けられる。並列世界についての新解釈や原作の補完的要素は特に存在しない。

一人称である原作と異なり、主人公不在の場面が多々見られ、その傾向は性的描写についても同様(女性キャラ同士のレズプレイが特徴的)。シナリオそのものよりも、各キャラの新たな側面や性的描写に重きを置いている向きが強い。

各々の登場人物は、設定の簡略化や変更、或いは登場場面の総削除が施されている。上述通り、シナリオ自体に大異は無い為、キャラの変更点を順に詳述する事によって、ゲーム版とOVA版との相違を明確にする。

詳しくは#登場人物の一覧を参照。

OVAの設定について書かれていないその他のキャラクターは、OVA版では存在そのものが描かれない。特徴としては、現代編のキャラの多くを異世界編にも登場させ、異世界編専用キャラの代役を演じさせ、登場人物数を絞った由が挙げられる。また、現代編男性キャラは半数以上が未登場(登場するのはたくやと豊富のみ)。全体的に現代編女性キャラの出番が増加している。

製作スタッフ[編集]

PC98版

  • 企画・脚本・ゲームデザイン
剣乃ゆきひろ
  • 原画・キャラクターデザイン
長岡康史
  • メインプログラム
森岡忠明
  • 音楽・サウンドエフェクト
島田竜
  • CG監修
下田篤、鍋島信彦
  • グラフィック
鍋島信彦、西沢謙志、奈良泰之
相沢健一、野間明、井上順一
高橋將喜、折笠方紀、木村隆夫
松下剛、多田弘、宮原稔
泉英孝、山嵜亮
  • 背景
下田篤、小林勝寿
  • 広告・パッケージデザイン
菅野洋之(剣乃ゆきひろの本名)
  • セルワーク
中山久美子
  • スペシャルサンクス
酒見義敬、浅川正一、横田茂
北川正雄、小宮山峰史、都原一雄
菅宗光、原川遼太郎、川那部恭
中澤隆雄、佐藤郁雄、福田紀久夫
甲斐日富美、寺沢富美子、若林かおる
柿沢稔、黒沢悦子、浦野千乃
佐川文子、江目誠、橋本江利子
玉水香織、福永由美、吉田直哉
清水史也、長井理、田島直

セガサターン版

  • 企画・脚本・ゲームデザイン
剣乃ゆきひろ
  • キャラクターデザイン
長岡康史
  • 音楽作曲
島田竜、高見龍、神奈江紀宏
  • 音楽監督
神奈江紀宏
  • オリジナルプログラム
森岡忠明
  • 移植プログラム
長井理、関夏生
  • プログラム技術協力
山崎岳志
  • 背景
小林勝寿
  • CG監修
下田篤、鍋島信彦
  • CGデザイン
鍋島信彦、川那部恭、西沢謙志
相沢健一、折笠方紀、野間明
多田弘、木村隆夫、山嵜亮
松下剛、宮原稔、奈良達人
鈴木正和、森林雅彦、大木忍
木村浩孝、小倉陽子、山口主税
大見幸義、津田優樹
  • スペシャルサンクス
横田茂、箕浦健二、北川正雄
津川正一、立蔵政樹、菅宗光
中澤隆雄、矢吹健顕、山下剛之
松川紀雄、福田紀久夫、甲斐日富美
寺沢富美子、柿沢稔、藤島いづみ
黒沢悦子、浦野千乃、佐川文子
江目誠、小野友紀子、玉水香織
福永由美、早川雅代、清水史也
金平修、鈴木康由、横須武
藤波正樹、成田篤史、斉藤陽子
与猶啓至、田島直

参考文献[編集]

  • 雑誌
  • 書籍
  • 『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO 完全ガイド』 発行所:辰巳出版 初版発行:1997年5月15日 ISBN 4-88641-197-5
  • 『エクソダスギルティー ワールドガイダンス(EXODUS Guilty World Guidance)』 発行所:ソフトバンク パブリッシング 初版発行:1999年4月30日 ISBN 4-7973-0842-7
  • 『サターンのゲームは世界いちぃぃぃ! ~サタマガ読者レース全記録~』 発行所:ソフトバンク パブリッシング 初版発行:2000年4月10日 ISBN 4-7973-1173-8
  • 『パソコン美少女ゲーム歴史大全 1982-2000』 発行所:ぶんか社 初版発行:2000年10月10日 ISBN 4-8211-0717-1
  • 東浩紀『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』 発行所:講談社 初版発行:2001年11月20日 ISBN 4-06-149575-5
  • 『ファウスト 2004 MAR Vol.2』 発行所:講談社 初版発行:2004年3月19日 ISBN 4-06-179554-6

外部リンク[編集]