木星

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ファイル:Jupiter interior.png
木星の内部構造 NASAによる推定。中心部には地球の12倍の質量を持つ岩石もしくは金属の核をもつ可能性がある(核は存在しないという説もある)。次の灰色で示した金属水素の層は木星半径の78%を占める。金属水素の上に気体の層が広がる。気体と固体の層の間には超臨界状態の水素の層が存在する可能性がある。

木星(もくせい、Jupiter)は太陽系の内側から5番目の惑星であり、太陽系内で最大の惑星である。その質量は、太陽系を太陽と木星とその他で出来ていると言えるほど大きい。木星及び木星と同様のガスを主成分とする惑星(ガス惑星)である土星のことを木星型惑星と呼ぶ。

物理的性質[編集]

木星の質量は、木星以外の惑星全てを合わせたものの2.5倍ほどある。木星の質量のため、太陽系全体の重心は太陽の中心ではなく太陽の表面付近に位置している(太陽半径の1.068倍の位置にある)。地球との比較では質量は318倍、直径は11倍、体積は1,300倍ほどある。多くの人が木星のことを「恒星になり損ねた星」と表現している。

木星は厚い大気を持つガス惑星で、その組成は大半が水素である。また、観測しにくいがを持つことも確認されている。

太陽系以外では木星よりも大きな質量を持つ惑星がいくつか発見されている。しかし、木星程度の質量ではどのような物質の構成であったとしても自己重力による収縮が進まず、褐色矮星などにはならないと考えられている。木星型惑星が褐色矮星となるのに必要な質量、半径などの明確な分岐点はわかっていないが、中心で核融合反応が起こって恒星となるには最も少なく見積もっても木星の70倍程度の質量が必要とされている。褐色矮星となるにしても、およそ木星質量の13-75倍程度の質量が必要と考えられている。

木星は太陽系内で最も自転が速い惑星でもあり、遠心力によって赤道方向に膨らんだ楕円体をしていることが望遠鏡で見ても容易にわかる。また、木星表面の特徴的な模様として大赤斑(だいせきはん)の存在がよく知られている。これは地球の2倍ほどの大きさがある木星大気の渦であり、大気の自転とは逆方向に動いている。1665年に発見されて以降、約350年間存在し続けているが、どのようなメカニズムで長期間にわたって存在し続けているのかは解明されていない。木星全体は常に何層もの雲に覆われており、大気層の下にあると考えられる液体の表面を見ることはできない。

木星は強力な固有磁場を有しているため、木星周辺には強力な磁気圏が形成されている。このため木星にもオーロラが存在する。木星磁気圏内には高濃度のプラズマが蓄積されていることが電波観測により確認されており、このプラズマの供給源は主にイオの活火山によるものと推定されている。なお、木星の内部には非常に強力な圧力により水素が液体金属状となり、これが対流することにより強力な磁気圏が形成される。

木星の赤道傾斜角は、3.08~3.12°と水星に次いで小さく、自転軸がほぼ垂直である。このため、地球などに見られるような、気象現象の季節変化はほとんどないと推測されている。さらに木星大気は、木星内部から熱が供給されるため、木星が放出する熱量は、太陽から受ける熱量の2倍となっている。内部の熱源は、水素より重いヘリウムが中心に沈むためではないかと考えられている[1]

木星は通常地球から4番目に明るく見える天体である。太陽金星に次いで明るいが、火星の接近時には火星の方が明るくなる。また、金星より木星が明るく見えることもある。木星自体は有史以前から知られている。

木星電波[編集]

1955年、ワシントンカーネギー研究所のバーナード・バークとフランクリン・ケネスは木星からの電波放出を発見したと発表した[2]。当時は、太陽を含むいくつかの天体が電波を放出することは知られていたものの、惑星が電波を放出する可能性に気づいていたものはいなかった。バークらの功績も、受信装置をテストするためにかに星雲を観測していた際の偶然ともいえる発見による。

木星の衛星と環[編集]

詳細は 木星の衛星と環 を参照

1610年ガリレオ・ガリレイが木星の衛星のうちイオエウロパガニメデカリストを発見した。これらはまとめてガリレオ衛星と呼ばれている。これらの衛星は低倍率の望遠鏡でも観測でき、非常に目のよい人であれば、直接肉眼で観察できる可能性がある。

2007年現在、木星には63個の衛星と3本の環が確認されており、衛星のうち49個が命名されている。

木星と小惑星[編集]

木星の強い重力は小惑星にも影響を与えている。小惑星の軌道半径や軌道傾斜角などの分布には偏りがあるが、これらは木星からの重力の影響を受けた結果である(端的な例としてはトロヤ群と呼ばれる一連の小惑星がある)。

また、小惑星帯の形成に際しても木星が重要な役割を果たしていたと考えられている。小惑星帯の成因はまだ十分に解明されていないが、一例を挙げると、原始木星の重力によって現在の小惑星帯付近にあった原始惑星微惑星の軌道が乱され、これらの天体同士の衝突速度が速くなり過ぎ、衝突しても合体せずに破壊されることが多くなったため、惑星の成長が妨げられた結果が小惑星帯だとする説がある。この説の真偽は不明だが、いずれにしても木星が小惑星の形成に何らかの形で影響を及ぼしたと考える人は多い。

人類と木星[編集]

歴史と神話[編集]

西洋名 Jupiter (英語読みでは「ジュピター」、ラテン語読みでは「ユピテル」)はローマ神話の主神で、ギリシャ神話ゼウスに相当する。一際明るく大きい惑星がメソポタミアで主神マルドゥックの名を得て以来、各地の主神名で継承されている。かつて中国や日本では、公転周期がほぼ12年であることから十二次を司る星として「歳星」と呼ばれた。

惑星記号[編集]

天動説時代に第四惑星とされたため、アラビア数字「4」を図案化したものが、占星術天文学を通して用いられる。数字「4」にユピテル(ゼウス)の武器である雷を意匠として付与したものともされる。

木星探査[編集]

これまでの探査機
パイオニア計画
1973年12月パイオニア10号が、一年後に11号フライバイした。
ボイジャー計画
1979年3月ボイジャー1号が、同年7月に2号がフライバイした。木星の輪や、衛星イオの火山活動は、ボイジャー1号の接近によって発見された。
ユリシーズ
1992年2月に木星を90万kmの距離でフライバイし、太陽に対する極軌道に入った。2004年2月には木星に2億4千万kmまで接近した。
ガリレオ
金星や地球への接近によるスウィングバイを行い、途中小惑星ガスプライダを観測した後、1995年12月7日に木星を周回する軌道に入った。高利得アンテナが展開できないといったトラブルを抱えながらも、7年以上に渡ってガリレオ衛星のすべてとアマルテアへのフライバイを繰り返した。また木星の大気圏にプローブを投下し、大気の観測を行った。1994年にはシューメーカー・レヴィ第9彗星の木星衝突を撮影している。
2003年9月21日、ガリレオに付着しているかもしれない地球の微生物によって、生命の存在の可能性が議論されている衛星エウロパが汚染されるのを防ぐために、木星に突入させられた。
カッシーニ
2000年に木星をフライバイして土星へ向かった。
ニュー・ホライズンズ
冥王星カイパーベルトに向かう探査機。2007年2月に木星をフライバイし、機器のチェックを兼ねて木星本体やガリレオ衛星などを観測、その後冥王星へ向かった。
今後の探査機
ジュノー
木星を極軌道で周回する探査機。2010年打ち上げ予定。
ジュピター・アイスィ・ムーンズ・オービター(JIMO)
エウロパの海を研究するために計画された探査機。2012年以降に打ち上げられる予定だが、中止される可能性もある。

木星を主題とした作品[編集]

漫画[編集]

小説[編集]

映画[編集]

アニメ[編集]

音楽[編集]

娯楽[編集]

本文注[編集]

  1. Alvin Seiff. Dynamics of Jupiter's atmosphere. Nature. 2000; 403: 603-605.
  2. *The Discovery of Jupiter's Radio Emissions (NASA)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

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