同調圧力

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同調圧力(どうちょうあつりょく,Peer pressure)は、集団において多数派と同じように行動することを暗黙のうちに少数派に対して強制されることをいう。

概要[編集]

英語のピアとは「仲間」であり、「プレッシャ」は圧力である。同調圧力は心理的な圧力ではあるが、従わなければ様々な不利益が生じることがある。会議で自分の意見や異論を言いにくい、仕事が早く終わっても自分だけ先に帰れないといった光景はよく見られる。 「バンドワゴン効果」は行動経済学で使われる用語で、パレードの先頭の楽隊車に人々が集まると同様に、多数の人が支持する物事にいっそう支持が高くなる現象である。「バンドワゴン効果」が生まれると、さらに同調圧力が強まる。

同調圧力の功罪[編集]

功の面[編集]

コロナ禍において欧州のようなロックダウンをしなくとも日本ではほとんどの人が自主的にマスクをつけ、花見や祭りが自主的に中止され、新型コロナの死者や重症者数は大幅に少なくなった。同じタスクを複数人で行う場合は、同調圧力の効果でチームワークがよくなり、「迷惑をかけたくない」という気持ちからモチベーションが高まる。

罪の面[編集]

同調圧力のストレスにより引きこもりや不登校が発生することがある。 多数派に同調しない少数意見者が一部の変わり者であるとの印象操作が行われる。そのため多様性が排除される。 同調圧力はイノベーションにとってマイナスである。イノベーションとはいままでとは違うことをすることである。新しいことをしようとすると、前例がない、規則にないなどの理由で多数派から抵抗を受ける。新しいアイデアを試すなど、失敗を過度に恐れるあまり、全体としては変化に対応できなくなる。

同調圧力の発生要因[編集]

同調圧力の発生要因は太田肇によれば以下の3つがある[1]

閉鎖性[編集]

島国のため日本独特の制度・文化・慣習・などが独特で閉鎖的であるため、思考が狭くなりがちである。組織から外れることの心理的なハードルが高い。

同質性[編集]

閉鎖性に同質性が加わると同調圧力が強まる。組織リーダーからみると、メンバーが同質であると扱いやすい。日本企業は、論理性より「空気を読み」「自発的に同調する」ことを求める。共同体主義というイデオロギーが野心や支配欲を強める[1]。加害者の背景に「承認欲求」が隠れている。

個人の未分化[編集]

個人の未分化とは個人が組織や集団のなかに溶け込んだ状態で、組織に埋没してしまっている状態をいう。

同調圧力の弊害[編集]

コロナ禍における「[自粛警察]]」は「正義の味方」を演じることにより、同調圧力をかけ、いじめやハラスメントと同様の現象が起こる。感染防止を錦の御旗とするだけに、タチが悪い。中世の魔女狩りにも似ている[1]

参考文献[編集]

  1. 1.0 1.1 1.2 太田肇(2021)『同調圧力の正体』PHP